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  1. 世田谷区議会 2013-06-04
    平成25年  6月 定例会-06月04日-01号


    取得元: 世田谷区議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-04
    平成25年  6月 定例会-06月04日-01号平成25年 6月 定例会 平成二十五年第二回定例会 世田谷区議会会議録第八号 六月四日(火曜日)  出席議員(四十六名) 一番   山口ひろひさ 二番   あべ弘幸 三番   三井みほこ 四番   植田靖子 五番   高岡じゅん子 六番   すえおか雅之 七番   ひうち優子 八番   佐藤美樹 十番   和田秀壽 十一番  小泉たま子 十二番  てるや里美 十四番  上川あや 十五番  青空こうじ 十七番  津上仁志 十八番  福田妙美
    十九番  菅沼つとむ 二十番  上島よしもり 二十一番 新川勝二 二十二番 桜井純子 二十三番 唐沢としみ 二十四番 木下泰之 二十五番 あべ力也 二十七番 高久則男 二十八番 岡本のぶ子 二十九番 畠山晋一 三十番  上山なおのり 三十一番 石川征男 三十二番 江口じゅん子 三十三番 桜井 稔 三十四番 中塚さちよ 三十五番 中村公太朗 三十六番 風間ゆたか 三十七番 平塚敬二 三十八番 杉田光信 三十九番 板井 斎 四十番  下山芳男 四十一番 宍戸のりお 四十二番 山内 彰 四十三番 中里光夫 四十四番 村田義則 四十五番 大庭正明 四十六番 田中優子 四十七番 桃野よしふみ 四十八番 諸星養一 四十九番 佐藤弘人 五十番  高橋昭彦  欠  員(四名) 九番 十三番 十六番 二十六番  出席事務局職員 局長     尾﨑眞也 次長     小湊芳晴 庶務係長   岡本守広 議事担当係長 井上徳広 議事担当係長 松見 径 議事担当係長 飯田 睦 議事担当係長 水谷 敦 調査係長   小池 篤  出席説明員 区長     保坂展人 副区長    板垣正幸 副区長    秋山由美子 世田谷総合支所長        藤野智子 北沢総合支所長        柳澤正孝 玉川総合支所長        堀川雄人 砧総合支所長 永井 努 烏山総合支所長        山口浩三 政策経営部長 宮崎健二 基本構想・政策研究担当部長        田中文子 地域行政担当部長        城倉 茂 総務部長   萩原賢一 危機管理室長 阿部晃一 財務部長   金澤博志 施設営繕担当部長        渡辺正男 生活文化部長 齋藤洋子 環境総合対策室長        松本公平 産業政策部長 内田政夫 清掃・リサイクル部長        寺林敏彦 保健福祉部長 金澤弘道 地域福祉部長 板谷雅光 子ども部長  岡田 篤 世田谷保健所長        成田友代 都市整備部長 佐藤健二 生活拠点整備担当部長        霜村 亮 道路整備部長 吉田 博 土木事業担当部長        青山雅夫 会計管理者  河合岳夫 教育長    堀 恵子 教育次長   古閑 学 教育環境推進担当部長        菊池弘明 教育政策部長 伊佐茂利 総務課長   星 正彦     ──────────────────── 議事日程(平成二十五年六月四日(火)午後一時開議)  第 一 代表質問     ──────────────────── 本日の会議に付した事件  一、会議録署名議員の指名  二、会期の決定  三、議員の辞職の報告  四、諸般の報告  五、日程第一  代表質問
        ────────────────────     午後一時開会 ○山口ひろひさ 議長 ただいまから平成二十五年第二回世田谷区議会定例会を開会いたします。     ──────────────────── ○山口ひろひさ 議長 これより本日の会議を開きます。     ──────────────────── ○山口ひろひさ 議長 本日の日程は、お手元に配付の議事日程のとおりであります。     ──────────────────── ○山口ひろひさ 議長 まず、会議録署名議員の指名を行います。  会議録署名議員には、会議規則第七十九条の規定により、   十五 番 青空こうじ議員   三十四番 中塚さちよ議員 を指名いたします。     ──────────────────── ○山口ひろひさ 議長 次に、会期についてお諮りいたします。  本定例会の会期は本日から六月十三日までの十日間とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○山口ひろひさ 議長 御異議なしと認めます。よって会期は十日間と決定いたしました。     ──────────────────── ○山口ひろひさ 議長 この際、御報告いたします。  去る六月三日、小松大祐議員から、公職の候補者に立候補するため議員を辞職したい旨の願い出がありましたので、地方自治法第百二十六条ただし書きの規定により、同日、これを許可いたしましたので、御報告いたします。     ──────────────────── ○山口ひろひさ 議長 次に、区長から招集の挨拶の申し出があります。保坂区長。    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 平成二十五年第二回世田谷区議会定例会の開催に当たり、区議会議員並びに区民の皆さんに御挨拶を申し上げます。  四月十四日、二子玉川公園が部分開園をいたしました。風の強い日でしたが、子どもの遊び場や日本庭園帰真園には多くの乳幼児を連れた親子が来訪しました。帰真園は高低差をユニバーサルデザインでカバーしていますが、ベビーカーを押した親子連れが目立ちました。小さな子どものふえている町、世田谷を実感した一日でした。  世田谷区では、平成二十四年の一年間、人口が五千四百人ふえました。このうち、ゼロ歳から五歳の就学前人口は九百四十九人と全体の一七・五%を占めています。振り返ると、過去四年間継続して、ゼロ歳から五歳までの人口が約千人ずつふえています。世田谷区の就学前人口の占める割合はことし一月時点で四・九%ですので、人口増加のうち就学前人口の占める割合が極めて高くなっています。  区内で子どもが生まれるだけではなくて、乳幼児とともに転入してくる子育て世帯の増加傾向が顕著であります。全国的に見ると、ゼロ歳から十五歳までの子どもの数は昭和五十七年から三十二年連続で減少しています。子どもの人口がふえている都道府県は、平成二十四年は東京都と沖縄県のみ、東京でも地域によっては乳幼児人口が減っている自治体もあります。人口減少・少子化社会が押し寄せている日本社会にあって、子ども人口増が起きているということは世田谷区の大きな特徴であります。  保育サービス待機児の増加も、子育て支援システムの拡充も喫緊の課題です。ただ、この難関を乗り越えて、子ども応援都市として豊富な人材を生かして変化に応えていく仕事は、日本全体の少子化傾向からの反転の契機をつくることにもつながります。強い決意で臨みます。  昨年、保育園等の近隣から時折寄せられる、子どもの声がうるさいという苦情について考える機会がございました。また、少子化対策を進めているはずの社会で、現実には保育施設、幼稚園、学校等が迷惑施設として近隣からの苦情にさらされている状況は全国に広がっていて、根が深いということもわかりました。  住民の声に誠実に対応するのは行政の基本です。とりわけ人口密度の高い住宅都市では、幾つもの権利が複雑に相反し、衝突し合うことがよく起きます。これまでの対応は、どうしても大人の立場に偏在していなかったかと私は自問します。例えば保育施設の近隣からの苦情に対し、園庭の子どもの利用制限をかけたり、防音壁、ペアガラスの設置をするなどの措置をなしたことで、苦情に対しての形のある回答にはなったのかもしれません。反面、子どもが元気に声を出して、体を動かして成長発達することに大きな制約を課してはこなかったでしょうか。  ドイツでは、子どもの声を環境騒音として認定した裁判所によって、ハンブルクの幼稚園の閉鎖命令が出たことを契機として、これを不服とする親たちの声が集まり、社会的な議論を経て、子ども施設の声を環境騒音から除外するという法改正が二〇一一年に連邦議会で成立をしています。法律改正でドイツ社会は子どもの声を環境騒音から例外化すると、こんな結論を出しました。  一方、この問題について区民の皆さんの声を聞いていきますと、地域コミュニティーの機能を回復することが、遠回りのようで解決の方向ではないかという意見が印象に残ります。現実に、高齢者と保育園児童の交流が成果を上げている事例もあります。日ごろは近隣に住んでいても、保育園との精神的な距離感があり、子どもは苦手という高齢者の方たちを保育園にお連れして、子どもたちと顔見知りになると、表情も一変してにこにこしながら保育園に出かけられるようになります。そんなボランティア活動に力を入れている方から伺いました。確かに、知っている子どもの声はうるさくないとも言います。  地域で高齢者と子どもたちを結びつけ、学校に高齢者が出向いて子どもたちに昔遊びを教えたり、学校給食を一緒に食べながら昔の話を聞かせたりするような活動も行われています。騒音と苦情という冷たい関係から、歓談と愛情のほほ笑ましい関係へと変容していくことができれば、地域全体で子どもを包摂する方向がさらに見えてきます。  区民の方々からの声を聞いて、子どもの成長を家庭だけではなく、地域社会全体で支えていく視点から考えていくことが必要だという思いを新たにいたしました。住宅都市における地域コミュニティーのあり方にかかわる問題であり、今後も意識し続けていきたいと考えています。  保育待機児対策についてです。  六年前の平成十九年、世田谷区の保育サービス施設定員数は約八千七百人でした。ことしは一万二千八百人です。この六年間、定員を一・五倍ふやしてきたことになります。しかし、この四月の保育待機児児童数は昨年を九十八名上回り、過去最も多い八百八十四人となりました。新たな追加対策を指示し、千五百五十人分の定員枠の拡大を目指しているところです。  四月九日、荒川区長、江東区長、文京区長とともに、特別区長会を代表して、森少子化対策担当大臣田村厚生労働大臣に面会し、待機児童解消対策の強化を求める緊急要望を行い、国の安心こども基金による財政支援の継続、認可外保育施設等への財政支援、国有地の活用促進等を要請してきたところです。世田谷区において、保育施設整備の最大の課題である土地の確保については、国有地のさらなる活用が欠かせません。一日でも早く建設できるよう、引き続き国への具体的な要請を行っていきます。  一方で、区有地では、喜多見まちづくりセンター跡地を活用し、近隣にお住まいの区民の皆様の理解を得ながら、着実に整備を進めてまいります。認可保育園の整備を中心に、子どもの視点に立ち、保育の質の確保にも十分留意し、保育待機児の解消に向け、全力で取り組んでまいります。  次に、子どもの人権擁護についてであります。  いじめや暴力、体罰などといった子どもの人権を脅かす事件が起こらないようにし、また、深刻な事態に至らないようにするためには、子どもの生命や身体、人として生きる権利を守る仕組みが有効に機能していくことが不可欠であります。  本年七月から、子どもたちの声を受けとめ、寄り添いながら、子ども自身が本来持っている力を十分発揮できるように支援を行っていく常設の第三者機関であるせたがやホッと子どもサポートの活動がスタートいたします。早期に解決に結びつける取り組みを教育委員会とともに、しっかりと進めていきます。  既に相談活動の開始に向けた入念な準備が始まっています。生命や身体を脅かされた子どもたちが、せたがやホッと子どもサポートの助言と調整、また環境改善の努力によって危機を回避、落ちついて元気になれる道を開いていく役割を果たしたいと思います。  次に、若者支援についてです。  基本構想審議会から四月十八日に答申をいただいた将来ビジョンの一つである若者が住みやすい町をつくるには、若者の参画が不可欠です。若者の総合的な支援に向けた取り組みを推進するため、五月、私を本部長とした庁内関係所管による推進本部を開催し、これまでの若者支援活動を点検し、情報交換を踏まえて、今後の具体的な政策展開の検討に着手いたしました。  六月一日には、千歳烏山駅近くに中高生世代応援スペースを開設しました。この中高生の居場所づくりのモデル事業を通して、若者の主体的活動と支援の手法を検証し、今後の展開に結びつけていきたいと考えております。  若者が今後とも地域社会の担い手として活動するためには、仕事を見つけ出し、生活の基盤を確保できるよう、若者の就労支援に向けた政策の充実も重要です。  四月から、区の中小企業・若年者マッチング応援事業の参加対象者数を昨年度より大幅にふやして実施をしております。この十月には就労支援センターを三軒茶屋に開設し、若者を初め、女性、高齢者、障害者などの就労支援、定着支援の体制を整える予定です。  あわせてハローワークの誘致を国に働きかけてきたところ、このたび厚生労働省の東京労働局から、三軒茶屋就労支援センターふるさとハローワークを設置するとの連絡がございました。平成二十五年度中の開設を目指して、開設時期や業務内容、具体的な整備について今後協議を進め、ハローワークの全国ネットワーク機能との結合により、就労支援のさらなる充実を図っていきたいと考えております。  次に、新たな教育ビジョンの策定についてであります。  一九九七年のイギリス総選挙で、トニー・ブレアが政権を握ったあの選挙で語られたのは、教育、教育、そして教育でした。一国の将来を占う選挙スローガンが教育そのものだったということを私は目の当たりにしました。選挙中と開票日もロンドンで牟田悌三さんとともに滞在をし、チャイルドラインの取材と研修をしていたことを思い出します。私も、今後の社会の未来を決める最重要政策は教育に尽きるものと考えております。  今の子どもたちがやがて成長して生きる時代とはどのような社会でしょうか。世界は今、グローバル化や情報通信技術の進展に伴って、人、物、金、情報やさまざまな文化、価値観が国境を越えて流動化しつつあり、変化が激しく先行きが不透明な社会に移行しつつあると言われています。  しかし、どのような社会にあっても、一人一人が多様な個性や能力を発揮しながら、自分で考え行動できること、その上で周囲とのかかわりやつながりを持ちながら、生き抜いていく力を育んでいくことが重要だと考えます。  区ではこれまで、平成十七年度に策定した世田谷区教育ビジョンのもとで、学校、家庭、地域との連携を重視しながら、教科「日本語」、地域運営学校の全校指定、世田谷九年教育など、特色ある教育プログラムの推進や教育基盤の整備などを図ってきました。  本年度、教育ビジョンは最終年度を迎えます。この間の教育や子どもたちを取り巻く環境の変化を見据え、平成二十六年度を初年度とする向こう十年間の新たな教育ビジョンを策定していきます。これまでに培ってきた教育基盤などを土台にして生き抜く力を育むため、さまざまな教育施策を点から線へ、そして線から面へ広げ、より豊かな教育の実現を目指して取り組みます。策定に当たりましては、区議会を初め学校関係者、保護者、区民など幅広く御意見を教育委員会とともに伺っていきたいと考えております。  次に、教育のICT化の推進についてであります。  情報通信技術の進展に伴って、その活用が一般的になっている現代社会にあって、これからの時代を生き抜く力の一つとして、社会生活の上で有用な情報活用能力を身につけさせることは、学校教育の責務であると考えています。  これまでの学校の授業における情報機器の活用に加えて、さらなる環境整備を目指し、今年度、区立東玉川小学校と駒沢中学校に無線LANの環境とタブレット型パソコンを導入し、持ち運びしやすい機器の特徴を生かした授業における活用や導入効果、課題等を検証するための実証実験を行います。学校はもとより、学識経験者による検証などもいただきながら、その成果を検討し、今後の整備につなげていきたいと考えています。  こうした情報機器は、あくまでも学びの道具であるということを念頭に置きたいと思います。情報機器の扱い方を習得するだけではなく、巧みにビジュアルに表現することや順を追って論理的に物を考えたり、想像力を無限に膨らますキャンバスとなったり、試行錯誤しながらもプレゼンテーションを行うなど、活用方法は無限にあります。子どもたちが船出していく時代の複雑さ、社会の変動を見据えながらも、教育の基盤となる読み取る力、考える力、伝える力、表現する力等を鍛えていきたいと思います。  子どもたちの中には、携帯電話、スマートフォン等を通したコミュニケーションが日常の一部になっている場合があります。メールやソーシャルネットワーキングサービスを通しての意見交換やネット上のやりとりの中で、孤立化したり、深刻な事態に陥るケースもあります。区で行っている学校非公式サイトの監視対象の拡大の検討とともに、今年度は区立中学校の一年生の生徒全員を対象に、インターネット、ソーシャルメディア等との上手なつき合い方や注意点などについて、ネットリテラシー醸成講座を実施し、情報モラル教育の推進にも取り組んでまいります。  次に、高齢者見守りネットワークについてです。  世田谷区の六十五歳以上の高齢者人口は約十六万人、高齢者がいる世帯は十一万世帯です。そのうち、高齢者のひとり暮らしが約四万世帯、高齢者がいる夫婦のみ世帯が約三万世帯と、子どもや孫とともに暮らす高齢者が多数ではありません。  現行の高齢者保健福祉計画の策定に当たり、区では全高齢者実態把握調査を行いました。調査に回答された十万人の高齢者のうち、見守りを今後とも希望しないという方の割合はわずか五・五%にすぎません。この数値からも明らかなように、高齢者の見守りネットワークは区民共通の課題であり、今後も着実に進めていく必要があると考えています。現在、七地区まで広がったこの区民と区民が支えあう取り組みが全区的な取り組みとなっていくよう、今後もより一層、地区ごとの働きかけに努めてまいります。  次に、新たな地域保健医療福祉総合計画の策定についてです。  新たな基本構想、基本計画の検討にあわせ、平成二十六年から十年間を展望した新たな世田谷区地域保健医療福祉総合計画の策定作業を進めていきます。区の保健、医療、福祉の各分野にわたって政策の方向性を示すこの計画の策定に当たり、現在、地域保健福祉審議会で御審議いただいており、近く中間のまとめが予定されています。今後、シンポジウムを開催するなど、区議会を初め区民、事業者の方々から広く御意見をいただき、年度内に計画を取りまとめてまいります。  次に、環境・エネルギー政策についてです。  これから暑い夏を迎えます。エアコンの使用などにより日中の使用電力が上昇する時期ですが、区議会の御協力をいただきながら、昨年より時期を早めて、既に五月からクールビズを実施しています。世田谷区は区内最大の事業者として、庁舎の省エネ型蛍光灯やLED化など設備更新とあわせ、この夏も率先して節電に取り組んでまいります。  七月からは、地域や事業者の協力もいただきながら、「熱中症予防、お休み処」を昨年に引き続き開設いたします。皆さんで涼みながら区の事業に参加していただけるように案内するせたがや涼風マップの配布など、無理のない節電と熱中症予防について区民の皆さんに呼びかけをしてまいります。  区民の皆さんには、熱中症に気をつけ、快適に過ごしていただきたいと思いますが、一人一台のエアコンを使用するよりも、皆さんで涼しい場所を共有するクールシェアという考え方があります。より上手に電力使用を地域全体で抑えながらも、熱中症予防にも努めていきたいと考えます。  自然エネルギーの活用については、この春に取りまとめた世田谷区地球温暖化対策地域推進計画アクションプランにおいても、エネルギーの地産地消と地域間連携を位置づけ、取り組みを進めています。  昨年二月、自然エネルギー活用促進地域フォーラムでの論議をもとに、世田谷サービス公社のせたがやソーラーさんさん事業の一般住宅での太陽光発電普及の取り組みが始まりました。ことしは集合住宅や事業所での太陽光発電の支援と区内産業の活性化のため、四月から区の省エネルギー対策資金融資利子補給事業を拡充しました。  また、住宅分野における取り組みとして、住宅の断熱化や自然エネルギー利用省エネルギー設備を導入した住宅改修を支援するため、この四月から環境配慮型住宅リノベーションの補助事業をスタートいたしました。あわせて区内事業者の環境配慮型住宅リノベーションに関する技術講習会を六月から開催し、技術力向上を図っていきます。こうした区内事業者との連携協力により、地域の省エネ、創エネ化がさらに進むように努めていきます。  以上がエネルギーの地産地消であります。  エネルギーの地域間連携については、三浦健康学園跡地における太陽光発電所の開設に取り組んでいるところです。エネルギーの大消費地である都市と豊かな自然や空間を持つ地方をつなぐことで、自然エネルギー活用の検討を進めていきたいと考えています。  七月には、自然エネルギー活用と都市間連携における世界の最先端と言われるデンマークから、自然エネルギーの活用で雇用を拡大し、地域経済を活性化した経験を持つレオ・クリステンセン氏が環境省の招きで来日されます。この機会に、世田谷区でも講演をいただくことになりました。都市と地方の連携をテーマに、区議会や区民の皆さんとともにお話を伺いたいと思います。同時に、群馬県川場村を初め世田谷区と交流のある自治体の方々にも御案内をお送りしています。これを契機に、世田谷区と交流自治体とのネットワークがさらに広がることを期待しています。  区ではこれまでも、ごみの減量とリサイクルの推進に向けた区民、事業者の活動を促進するとともに、行政による資源回収を進めてきました。その一環として、昨年の八月から、集積所から収集した不燃ごみに含まれる金属分の資源化を図っています。加えて、本年四月からは各総合支所に回収ボックスを設置し、携帯電話などレアメタルや貴金属の比率の高い小型電子機器十二品目の回収を開始し、都市鉱山と呼ばれる資源の有効利用を図っています。既に四月一カ月間に五カ所で百三キログラムを回収しています。今後もさらなるごみの減量、リサイクルの推進に区民の皆さんへの積極的な協力を呼びかけてまいります。  次に、災害対策についてです。  本年四月、区の災害対策本部機能を区役所第一庁舎五階から第三庁舎三階に移転しました。天井落下防止工事や無線設備の充実など災害に備える機能の充実を図りました。  首都直下型地震に備えて、停電に対して給油なしで七十二時間、五百キロワット電力供給のできる非常用電源設備を備えるとともに、断水に対して職員のみならず、周辺住民も含めて飲料水を確保できる地下水利用システムがこの四月一日から稼働しています。災害時の飲料水や生活用水などの確保は区民の生命線と言えます。引き続き、区内の災害時における地下水の有効活用などについて調査検討を行い、災害時の水の確保に取り組んでいきます。  また、五月二十一日には茨城県つくば市を訪問して、大規模災害時における相互応援に関する協定を結びました。遠隔地にある自治体としては、一月に協定を結んだ埼玉県熊谷市に続き、三例目となります。大規模災害時の自治体間支援の有効性については東日本大震災で再確認されています。今後もいざというときに備え、多くの自治体と災害対策を含めた協力関係を構築していきます。  次に、都市整備方針の改定についてです。  現在の都市整備方針は平成七年の策定から十八年が経過し、社会状況の変化や新たな都市づくり、まちづくりの課題などへの対応が求められています。現在、新たな基本構想、基本計画の検討を踏まえながら、今後の都市の将来像とこれを実現するための都市整備の基本方針の策定に向けた検討に着手しています。  ことし二月から五月にかけては、区民の皆さんに都市整備方針について知っていただき、関心を持っていただくための街づくりセミナーを全五回開催しました。今後もこうした区民参加の機会をつくっていくとともに、区議会を初め学識経験者など幅広い意見を伺いながら取り組んでいきます。  次に、都市の魅力、都市デザインについてであります。  世田谷区は、誰にとっても暮らしやすい、魅力ある世田谷を目指して、ユニバーサルデザインや風景づくりなどに取り組んできました。ユニバーサルデザインでは、年齢、性別、国籍、個人の能力にかかわらず、全ての人の平等な社会参加を実現するために、さまざまな事業のスパイラルアップ、点検、評価、改善に取り組み、御意見をいただきながら進めています。今後も事業の継続的な改善を着実に実施していきます。  また、風景づくりについては、世田谷らしい風景の保全、創出に取り組み、今年度は区民の活動により守り育てる風景、地域風景資産の選定を予定しております。  こうした区民参加の取り組みを通して、本年度設けた専管組織を中心に、世田谷の魅力アップに一層取り組んでいきます。  次に、世田谷ナンバーについてです。  区内産業団体からの提案をきっかけに昨年末に発足した世田谷ナンバーを実現する会の一員として、区としても導入に向けたPRや署名活動など、機運醸成の取り組みを進めてきました。四月には、世田谷ナンバーに関するアンケート調査を無作為抽出した区民四千人と区内五百の事業者を対象に行い、約八割の方から賛成の意向が示されました。この調査結果を踏まえ、現在、国土交通省の要綱に基づく要望書提出に向けて準備を進めています。世田谷ナンバーをきっかけに、さらに魅力ある町世田谷をつくりたいと考えております。  次に、スポーツの機運醸成に向けてであります。  ことしの秋は246ハーフマラソンの開催に加え、スポーツ祭東京二〇一三、国民体育大会、全国障害者スポーツ大会の開催や二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの開催都市決定など、世田谷区のスポーツの歴史に残る年になります。  東京で五十四年ぶりの開催となる国体ではテニス、ソフトテニス、東京では初開催となる全国障害者スポーツ大会では卓球、サウンドテーブルテニス、フライングディスクが九月から十月にかけて、区内の総合運動場、大蔵第二運動場、駒沢オリンピック公園で開催されます。現在、全力で準備を進めており、全国から集まる選手などへのおもてなしの気持ちを基本に、大会を盛り上げていきたいと考えています。  このたびの大会を初め、さまざまな機会を通してスポーツの機運を盛り上げ、誰もが気軽にスポーツに親しめるように、世田谷区のスポーツ振興に取り組んでいきます。  次に、新たな基本構想についてです。  基本構想審議会から答申を受け、このたび新たな基本構想の素案を取りまとめました。素案では、三・一一東日本大震災と原子力発電所の重大事故、また、少子・高齢化の進展による人口構成や家族形態の変化などを踏まえ、防災、減災や環境、エネルギーへの取り組み、地域社会のあり方などが大きなテーマになりました。  また、水と緑豊かな住環境、多様性を尊重する文化、区民参加の取り組みの積み重ねなど、世田谷区が培ってきた財産を守り育てることを基本としながら、課題解決に向けて区民が主体的に地域の担い手となり、住民自治の確立を目指すことを打ち出しています。  目標や理念は、個人の尊重・支えあい、子ども・若者、健康・福祉などのテーマ別に九つのビジョンとして掲げ、区民、事業者、行政が共有する今後二十年間の公共的指針と位置づけました。区民にできるだけわかりやすく端的な表現をと心がけられた審議会答申の文案を尊重し、区の素案といたしました。  今後、議会での御議論、パブリックコメント、シンポジウムでの区民の皆さんからの御意見を踏まえながら、さらに検討し、案としてまとめてまいります。あわせて平成二十六年度からの新たな基本計画の策定にも着手しており、庁内を挙げて進めてまいります。  一般会計の補正予算案について申し上げます。  このたびの補正は、国の平成二十五年度予算の成立による状況の変化や保育サービス待機児対策、風疹の予防など喫緊の課題に速やかに対応するための経費を計上するものであります。一般会計で七億二千三百四十七万八千円の増額補正となっております。
     最後に、本定例会に御提案申し上げます案件は、平成二十五年度世田谷区一般会計補正予算(第一次)など議案三件、諮問一件、報告二件でございます。何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御議決賜りますようお願い申し上げまして、挨拶にいたします。 ○山口ひろひさ 議長 以上で区長の挨拶は終わりました。     ──────────────────── ○山口ひろひさ 議長 次に、事務局次長に諸般の報告をさせます。    〔小湊次長朗読〕  報告第二十三号 平成二十四年度世田谷区繰越明許費繰越計算書外報告一件 ○山口ひろひさ 議長 以上で諸般の報告を終わります。     ──────────────────── ○山口ひろひさ 議長 これより日程に入ります。 △日程第一を上程いたします。  〔小湊次長朗読〕  日程第一 代表質問 ○山口ひろひさ 議長 質問通告に基づき、順次発言を許します。  まず、公明党を代表して、五十番高橋昭彦議員。    〔五十番高橋昭彦議員登壇〕(拍手) ◆五十番(高橋昭彦 議員) 公明党世田谷区議団を代表して、質問提案をいたします。  国連では創設以来、ことしで採択六十五周年を迎える世界人権宣言を初め、国連総会や世界会議での決議を通じて、環境と開発に関する持続可能な開発、紛争や構造的暴力に対する平和の文化など、人類が共同して追求すべき理念や指標を明示することで、国際協力を推進するための旗印としてきました。  昨年九月にも、人間の安全保障に関する決議が採択されましたが、こうした理念の設定が重要なのは、現代の世界で何がないがしろにされているのかを浮き彫りにすると同時に、どのような取り組みが急務なのかを明らかにして、注意を喚起するためのものです。どんな世界を築いていくのか、衆知を結集して、地球社会のグランドデザインを描き出すときと実感をします。  さて、私どもの地域社会である世田谷区においても、どのような区を描き出すのか、基本構想の議論が進んでいます。去る四月十八日に、世田谷区基本構想審議会は約一年半にわたる議論を経て、保坂区長に対し、基本構想、基本計画を策定するに当たっての区政運営の基本的な考えを答申しました。  私も議会代表の委員として、審議会と所属したテーマ別の部会に出席をいたしました。所属した第二部会は、街づくり、防災、環境・エネルギー、産業・仕事、芸術文化と多岐にわたる分野をテーマとして、活発な議論が交わされました。その中で私は、老朽化が進む公共施設や都市インフラの更新の問題、そして総合的な都市デザインの取り組みなどを中心に意見を述べてまいりました。  今回の基本構想は、区民、事業者、行政が共有する公共的な指針として、今後の理念や目標が掲げられているとともに、地域の課題解決へ向けて、区民が主体的に地域の担い手となり、住民自治の確立を目指すこと、自治体としての自治権の拡充を目指すことが打ち出されております。とりわけ、自立都市世田谷の実現を標榜する我が党としては、自治権拡充に期待するとともに、執行機関と議会とが連携して重点的に取り組んでいく課題であると認識をしております。  区長は今後、基本構想をまとめていくことにあわせて、基本計画、実施計画を策定していくことになりますが、この構想をどのように計画に落とし込み、実現していくおつもりか、御決意を伺います。  それでは、我が党の示す五つのビジョンに沿って質問をいたします。  まず最初に、自立都市世田谷について伺います。  まず、公会計制度改革について伺います。  新たな公共施設整備方針の基礎データとして、八月に公共施設白書を策定予定と聞いております。私どもはこの白書によって、公共施設のマネジメントによる施設の最適化、施設ごとの更新や長寿命化など多くの取り組みの方向が見える化され、今後は公共施設と公共施設以外の全ての資産に対して、私どもの推進する公会計制度改革につながっていくことを期待しているところであります。  公会計制度改革の必要性に関しては、我が会派として再三取り上げてまいりました。従前から指摘しているとおり、現金以外の資産や負債情報の蓄積、ストックやフルコスト、貸付金や収入未済、公共の資本や財産の状況の登記など、正確に把握できてこそ計画的な更新を図ることができるわけです。  さきの企画総務委員会で発表された二十五年度の主要事務事業に記載された公会計制度改革に対する区の取り組みは依然として、国による新たなモデル提示への動きなどその動向を踏まえ、世田谷区での導入可能性について調査するという全く具体性のないもので、公会計制度を進める気があるのか、全く不明な表現にとどまっております。  公共施設の更新時期に備え、健全な財政運営を進めるために新公会計制度の導入は不可欠です。区の具体的な計画の提示と迅速な対応を求めます。見解を伺います。  次に、地域行政制度についてお聞きします。  今年度から地区力の向上として、地区内の情報交換の場の創設や地区防災対策、また、拠点の機能・権限強化のための管理職の配置が四カ所で始まりました。我が党がこれまで訴えてきた地区を強くすること、このことに一歩踏み出したことは評価をいたします。  さて、二十年を経過した世田谷の地域行政制度ですが、地区での課題も山積はしておりますが、ここでは二層目の総合支所のあり方についてお聞きします。  五地域の人口や年齢分布、また地域課題も二十年で大きく変わってきました。議論の前提として、五つの地域をさらに色分けを強くしていくおつもりか、また五つの地域の再編も検討されるのか、総合支所の役割は何を重点課題として取り組むのか、まず区の考えをお聞きします。  さて、私どもは地域でのコミュニティーの強化、特に高齢者の孤立化を防ぐ行政のあり方を考え、高齢者見守りネットワークを提案してまいりました。人と人とのつながりを強くし、地域の力を増していく、このことによって高齢者の孤立を防ぐ。このコーディネーター役を最先端の行政が先頭に立って担っていけるように、出張所・まちづくりセンターの所長にその権限と機能を備える方策として、管理職配置を訴えたものであります。  地区に管理職を配置すれば、それでよしではありません。地区高齢者見守りネットワークに地区社協が事務局として機能するよう検討されていますが、出張所・まちづくりセンターにはその場所さえありません。全区展開へ向けて、町会・自治会を初めとする地域へ発信し、共有し、行動するコーディネーター機能を所長が権限を持って行うことによって、高齢者の見守りができるものと訴えるものであります。改めて区の決意をお聞きします。  次に、産業振興政策について伺います。  我が党はこれまで、区内の産業振興は世田谷区の特性を見きわめた多面的な戦略が必要であり、そのためには民間との協力は欠かせないと主張をしてまいりました。  我が会派では、連休明けの五月八日、四月にオープンしたばかりの新武雄市図書館を視察してまいりました。ここは、代官山蔦屋書店を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社が指定管理者として運営するということで、大変注目を浴びてきました。それは、図書館のサービスとは何か、最適な運営形態は何なのかを考えた結論だそうです。また、その原動力は、図書館とはイコールまちづくりであり、その町に住みたくなる空間づくりをすることで、その土地の価値が上がっていくとの明確なビジョンが根底にありました。  さて、私たち一行は市職員から説明を受けましたが、冒頭、四月の一カ月間で来館者数は市の人口の二倍に当たる十万人を超えた、年間来館者の五倍という結果になったと職員が誇りを持って語る姿が輝いて見えました。  肝心の図書館ですが、図書館は年中無休で午前九時から午後九時まで。開架図書を従来の二倍に拡大し、二十万冊の触れられる蔵書を市民に提供、書籍の陳列方法を見直し、さらに、図書館の役割として重要なレファレンス機能を強化するための仕組みとして、セルフカウンターの導入やiPadを使った三十台の端末、レファレンスカウンターの増設など、館内には書籍販売や音楽・映像レンタルを行うと同時に、スターバックスも併設し、コーヒーを飲みながら本に親しむ。肝心の経費ですが、民間導入で以前より一割削減が見込めると。  そこで伺いますが、今後、民間企業と協働することによって、市民価値が高く、市民の生活をより豊かにする新公共サービスの実現のために民間協働型の政策立案が求められますが、区の見解を伺います。  関連して、世田谷ナンバーについて伺います。  我が党も世田谷ナンバーの実現を目指し、先月十三日、中嶋、栗林都議とともに、太田国交大臣に要望活動を行いました。これには保坂区長を初め、世田谷ナンバーを実現する会会長らも同行をいただきました。早ければ来年導入されますが、世田谷ナンバーの実現は大事ですが、最も必要なことは、世田谷の地域資源と連携した地域振興、観光振興などの活用方策を明確に示すことであると申し上げています。  そこで、改めて世田谷の産業振興について民間の知恵を集め、御当地ナンバー連絡会議などを設置し、地域振興や環境、さらに地域の連帯感を醸成する取り組みを早急に行うべきと考えますが、区長の認識を伺います。  次に、老朽空き家対策について伺います。  五年に一度実施される総務省の住宅・土地統計調査によると、東京都の放置空き家は、二〇〇八年は約十九万戸で十年前の一・六倍となっており、都市部での空き家がふえ続けています。空き家の発生は風景、景観の悪化、防災や防犯機能の低下などさまざまな影響が生じ、新たな都市問題として顕在化してきています。  富士通総研によると、放置されている空き家は高度成長期に建てられた築五十年程度の物件が多く、核家族化で親が亡くなった後に空き家になる。こうした空き家対策の例として、足立区は、空き家対策の条例を二〇一一年に施行し、解体を促すと同時に、木造家屋の解体費用を助成し、これまで三十棟を解体。また、横須賀市では、空き家を改修し、高齢世帯の安否確認を条件に、大学生に安価で貸し出す事業を始めています。国交省の調査では、ことし一月現在で百三十八自治体が空き家対策の条例を施行しています。  ここで、区内の老朽空き家の現状と当面の対策に対する区の認識について伺います。さらには、今後、空き家をふやさないようにするためには、組織体制の強化や条例化も視野に入れた対策が求められますが、見解を伺います。  まちづくり先進都市についてお聞きします。  一点目は、公共施設の非構造部材の総点検についてです。  まず、二百平米以上の施設で点検を行ったと聞いておりますが、その結果についてお聞きいたします。  来年度には非構造部材の一定以上の建物については、建築基準法の法令化がされる予定と聞いておりますが、それまでの間、学校を除く非構造部材の耐震化対策はどのように推し進める御予定かお聞きいたします。  また、学校関係の体育館等の非構造部材の点検について、照明とバスケットゴールについては二十四年度内に全校完了とのことでありましたが、安全確認結果はいかがだったのかお聞かせ願います。  いずれにしても、学校の体育館は災害時の避難所としての重要な施設であり、安全性の確保が不可欠です。早急な対応を求めるものであります。  道路の総点検についてもお聞きします。さきの定例会でも申し上げました、マイクロ波の活用により、道路の路面下の空洞調査について、江東区や大田区では、今まで調査した道路での発見した空洞数は一万六千カ所に及びます。特に二年前の東日本大震災以降は、平常時の十倍以上で空洞が発生していると言われています。優先順位をつけ、緊急輸送道路やバス路線を先行して点検すべきと考えます。区の方針を伺います。  第二に、都市農業の推進とまちづくりについてです。  農林水産省は、二〇一二年度の食料、農業、農村の動向を公表しました。そこでは、食料安定供給確保、農業の持続的発展、農村の振興・活性化に向けた対策の必要性を強調しています。しかし、都市部における都市農業は、都市に必要不可欠な存在として位置づけられつつも、高い地価や税制問題などが最大の要因となり、いまだ都市農地減少に歯どめがかからないのが実態です。  公明党としてもこの間、都市農業振興PTを発足し、都市農業をめぐる現状調査と今後の課題を整理してきました。町は宅地よりも農地を含む緑地空間を必要とするなど、何よりも住民の価値観が大きく変わっていることが明らかになりました。現に、農林水産省だけでなく、都市計画を所管する国土交通省も都市農業、農地に関する検討を推進するようになったこともその理由からです。  今後、都市農業、農地が果たす役割は極めて重要であり、地域交流の場、防災や福祉にも活用できる貴重な多機能空間として、政策を強力に進めるリーダーシップが求められます。  そこで二点質問いたします。  一点目は、区民と農地の共生するまちづくりを進める観点から、世田谷区として農業特区への提案を求めます。都市農業の活力低下が進む中で、構造改革特区制度は再生に資する特例があり、相模原市の新都市農業創出特区など、特例を活用する農業特区の認定も拡大しています。都市農業再生への起爆剤として、地域特性を生かし、課題を踏まえた自発的な取り組みの一歩と考えますが、区の認識を伺います。  二点目は、今後の都市農業の活用についてです。将来の世田谷のまちづくりの問題として、都市農業を産業のみならず、福祉、教育と連携し、社会福祉政策として都市農業を活用する視点が重要です。区の考えをお聞きいたします。  次に、福祉先進都市世田谷について五点伺います。  初めに、産後ケアセンターについて伺います。  産後の心身ともに不安定な時期に、母子ショートステイや母子デイケアを実施し、育児不安の解消や児童虐待の予防を目指すために、産後ケアセンターを平成二十年三月に桜新町にオープンしました。全国初として、世田谷区の誇る施設であります。  現在、ケアセンターでの利用実績もふえており、二十四年度稼働率は九一・四%、高齢出産の増加で実家の両親も高齢化、また両親も働いていたりと、里帰り出産も難しくなっている昨今、産後ケアセンターの必要性がますます高まっています。国も我が党の主張により、全国での取り組みが加速度を増そうとしています。区としても、さらなる産後ケアセンターの充実のために、第二の産後ケアセンター設置についての検討も必要と考えます。見解を伺います。  世田谷区では、保育待機児問題が大きくクローズアップされておりますが、七割から八割が在宅で子育てをしております。さきの定例会でも、町を挙げて子どもを見守り育てるために、世田谷子育て応援宣言を表明すべきと提案をいたしましたが、その一つが在宅支援のための子育てステーションの拡大であります。利便性の高い駅前に設置する多機能型の子育て支援拠点施設である子育てステーションの全駅設置を提案しておりますが、五つの整備終了後は一向に次のステップが見えません。  まず、今後の子育てステーションの推進をどのように考えているのかお聞きいたします。  また、小田急線連立事業で駅周辺が変わります。さらに、これから京王線の連立事業が進むことになります。これに時期を合わせて推進すべきと考えます。見解を伺います。  三点目に、保育園待機児対策について伺います。  本年四月一日時点の保育待機児数は八百八十四人と昨年を上回る状況になり、保育待機児問題は深刻さを増しております。  公明党東京都本部では、待機児童問題プロジェクトチームを立ち上げ、五月一日には、世田谷区内で実施している保育室、保育ママ、認証保育所などの代表の方の意見をお聞きし、その中では、二〇一五年四月に本格実施される国の子ども・子育て新制度移行への支援要請や不足する三歳児保育への対策など、意見が出されました。これを受け、保育の質の維持向上を目指しつつ、保育の量を拡大し、もって女性の活力を生かす社会づくりを進めていくことは肝要として、公明党東京都本部では、待機児童問題に関する緊急要望を厚生労働大臣に提出したところであります。  区は、今年度の整備量を千五百五十人にふやす計画を打ち出したことについては一定の評価をいたします。しかし、国有地、区有地の活用についても限界があり、今後は民間の資産の活用を含めて検討する必要があると認識いたします。  新聞報道によると、金融庁は保険会社が子会社を通じて直接保育所を運営できる方向で検討に入った。保育所に入りたくても入れない待機児童問題が深刻になる一方、保険会社の保有する不動産を使った保育サービスへの参入意欲は高まっているとありました。  保険会社参入に限らず、世田谷区内には企業所有の遊休地が多く存在します。民間の資産を有効に活用し、待機児対策のための環境整備を図れるように区としても検討すべきであります。見解を伺います。  四点目に、がん対策推進条例の制定に向けて、区の所見をお尋ねします。  さきの定例会の代表質問で、条例化についての質疑では、がん対策検討委員会などの意見を踏まえて議論するとあり、やや消極的な感は否めません。前回も指摘しましたように、がん対策の根本とも言える早期発見、早期治療には検診の充実、検診率のアップが大命題であります。しかるに、このことさえ計画どおりに進捗していない現実を区はどう受けとめられておられるのか。本当に真摯に向き合っていると言えるのでしょうか。まずお答えいただきたい。  我が国において、二人に一人ががんになるという事実は、当然我が世田谷区でも冷厳なる事実であります。そこには、単に医療費の増大による財政負担をどう抑えるべきかという形而下の問題のみならず、終末期にあって、人間としての尊厳をどう保つかという形而上の課題にどう対応していくかは重い課題であり、まさにそこにこそ条例化への意義があると私どもは考えます。そして、条例化を図る上で、世田谷区がん根絶を高らかにうたい上げる象徴的な意味合いとして、梅ヶ丘病院跡地にがん対策の拠点を構築すべきと考えます。区長の思いをお聞かせください。  さらに、教育的視点からのアプローチについても見解を求めておきます。人生八十年の長い生涯において、がんは突発的に降りかかるものであります。小児がん、働き盛りで大黒柱に襲いかかるがん、最後の総仕上げに忍び寄るがん。まさにがんは人を選ばず、時期を選びません。幾ら早いうちから備えをしても決して遅くはありません。  豊島区では、独自にがんに関する教育プログラムを開発しましたが、その特徴に、子どものうちからの教育が生涯にわたる健康づくり、将来にわたる罹患率の減少につながる、さらに、学んだことを家族で話し合うきっかけになり、親子で取り組むことが可能になるなど、世田谷区でも速やかに取り組むべきと感じた次第です。教育長のお考えをお聞きします。  五点目に、心の健康問題についてお尋ねいたします。  私がこの問題を取り上げてから、早くも五年の月日が経過しようとしております。この間、具体的な取り組みが少しずつ目に見えたことに、まず評価をしたいと思います。しかしながら、私どもが理想と掲げている、あるべき心の健康施策の体系からは、まだまだ緒についたばかりであると苦言を呈さなければなりません。世田谷区として取り組むべき課題、具体、実効性ある施策展開をと、さきの定例会では、思春期への対策と自殺対策を柱にすべきと訴えたところであります。  心の健康問題の中でも、とりわけ生死にかかる課題である自殺対策へのアプローチ。御承知のように、自殺問題は年間三万人もの方がみずから命を絶つという国を挙げての深刻な課題であり、世田谷区においても平成二十四年で百五十二名の自殺者が不幸にして出ており、その多くは精神疾患、心の問題が原因とされており、解決が急がれる問題であります。現在、その所管は保健所の健康推進課で対応に尽力されておられますが、二年前に視察に伺った三重県四日市市における心の相談事業であるYESネットでは、行政と医療機関との連携がシステムを運用する上で重要なポイントでありました。医療と保健の連携した自殺対策、心の健康対策についての考えを伺います。  また、今後、梅ヶ丘拠点整備に係る構想において保健センターの拡充がうたわれておりますが、最終的には心の健康対策に関し、専門的な見地から、保健センターにその中心的役割を担っていただくことも検討すべきと考えますが、区当局の見解をお尋ねいたします。  次に、環境都市世田谷について質問いたします。  ここでは、スマートシティー実現に向けた方策についてお尋ねいたします。  スマートシティー構想についてはこれまでも取り上げており、今さらという感もいたしますが、原発にかわる再生可能エネルギーの創造に力を注ぐ保坂区長であればこそ、ぜひともこれこそスマートシティーだと誇れる町を構築すべく、力強いリーダーシップを発揮していただきたくお尋ねするものであります。  改めて、スマートシティーの定義ですが、市民のQOLを高めながら健全な経済活動を促し、環境負荷を抑えながら持続して成長を続けられる新しい都市の姿と言えましょう。東日本大震災とそれに続く原子力発電所の事故後は、さらにレジリエントも求められるようになりました。  現在、多くの都市でスマートシティー実現への試みがなされていますが、とりわけ、横浜市、豊田市、けいはんな地域、北九州市の四地域が実証プロジェクトの先行モデル都市として注目を浴びています。  区長は昨年の決算委員会の答弁で、電力供給のシステムを改革するとの強い決意を披瀝されておられます。再生可能エネルギーの普及に当たり、太陽光、太陽熱などの普及を目指すとともに、電力の使用に関し、特区もありではないか、それが国を変えていくのだとの思いは大いに共鳴するものであります。また、イギリスにおけるグリーンディール制度のように、省エネ機器の使用により個々の家庭が家計の負担なしに、より一層エネルギー削減が可能になる制度も始まっており、そうしたことも参考になるのではと考えます。  何より、石油や天然ガスなどの化石燃料を輸入するため、二十兆円もの費用がかかっているという現実に目を背けてはならない。後世の世代にこの緑豊かな地球を引き継ぐのが我々の責務であります。そのためには、我が世田谷からエネルギー革命を起こす。そして、その壮大な実験が私はスマートシティー構想であると考えます。  区行政のあらゆる部署を総動員する。民間企業の実践力、さらには世田谷に住む住民の豊かな発想力など、区のあらゆる英知を結集してこそ、このエネルギー革命はなし得るものと考えます。他都市の実証プロジェクトを超える、まずはモデル地域構築を求めるものですが、区長の見解はいかがでしょうか。  最後に、教育都市世田谷について質問いたします。  世田谷区が平成十七年三月に策定した世田谷区教育ビジョンは、今後十年間の教育の方向性を示す大きな契機となり、世田谷九年教育の実現を初め、独自の学校教育力を高めてきたことは大変に評価をいたします。そして、今年度はこれまでの取り組みを踏まえ策定された第三期行動計画の最終年度に当たります。また、今年度、新たな世田谷区基本構想・基本計画等を踏まえ、平成二十六年度を初年度とする世田谷区新教育ビジョンを策定すると伺っています。  世田谷九年教育の推進、地域運営学校の全校指定に伴う地域参画による学校づくりの推進、持続可能な発展のための教育の推進、教育環境の整備などが柱として予想されますが、これまで築いてこられた実績や成果をどう生かしていくのか、継承していくのかは大変に重要な視点として我が党は注視しております。  そこで二点質問いたします。  一点目は、これまでの取り組んできた世田谷区教育ビジョンの実現を図った成果をどのように新ビジョンへシームレスに整合、継承していくのか、どのような柱を掲げ、さらなる充実を図っていくおつもりか教育長の見解を伺います。  二点目は、区立幼稚園のあり方と学校規模適正化、適正配置についてです。  まず、学校規模適正化、適正配置については、平成二十年八月に策定した基本的な考え方をもとに、これまで鋭意取り組んでこられました。また、区立幼稚園のあり方に関しても、長期にわたる課題として議会で議論を重ねながら、平成二十二年十二月、今後の区立幼稚園のあり方についてがまとめられた努力は評価をしています。  しかし、今般、両施策とも当初スケジュールが見直され、もちろん保護者の方や地域住民の皆様への丁寧な説明、理解を求めることへの配慮は不可欠ですが、事業への取り組みの機運までそがれる懸念を我が党は生じていると感じています。改めて、今後の進捗について、区長の認識をお伺いいたします。
     以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 高橋議員にお答えいたします。  時代の変化を捉え、また、地球規模の課題意識を踏まえたグランドデザイン、そういった観点からの御質問をいただきました。  今後二十年間を見据えた基本構想は、少子・高齢化による人口構成の変化や東日本大震災を経験した中で素案を策定いたしました。このたび、基本構想審議会からいただいた答申に基づき、基本構想の実現に向けた基本計画の策定に着手しています。先般、基本計画検討状況として議会に御報告を差し上げているところであります。  基本計画は、基本構想を実現するため、区政運営の基本的な指針であり、中長期的な展望を踏まえて、平成二十六年から十年間の政策、施策を総合的かつ体系的に明らかにする最上位の行政計画と位置づけております。とりわけ、基本構想を論じる審議会や区民のワークショップの時代認識あるいは問題意識を共有し、実現可能な計画にしていく必要があると認識をしております。  そこで、幹部職員はもとより、現場で実務を支える職員も含め、区政各分野、健康・福祉、子ども若者・教育、暮らし・コミュニティ、都市づくりなど政策テーマに分けて、庁内を挙げての議論を重ねてきているところであります。また、基本計画を受けて具体的な年次計画を示す実施計画、行政経営改革計画などの検討も進め、議会を初めパブリックコメントやタウンミーティングなど幅広く区民の参加を得ながら、新たな計画策定に取り組んでまいります。  次に、地域行政制度と地区高齢者見守りネットワークの今後について御指摘をいただきました。  先ほどの挨拶でも触れさせていただきましたが、世田谷区内で高齢者がいる世帯は十一万世帯、約十六万人、そのうち、高齢者のひとり暮らしの世帯が四万世帯、四万人ということになります。さらに、高齢者がいる夫婦のみ世帯が三万世帯ということで、地域において、子どもや孫とともに過ごす高齢者のほうがむしろ少ないという実態が浮き彫りになってきております。  私たちは、東日本大震災の発生とこれまで復旧復興に向けた取り組み過程において、地域コミュニティーがどのようにあるか、これが災害時の回復力に直結しているという教訓を現場から聞いてきております。日ごろからのつながりの重要性をさらに強く認識しているところであります。  住みなれた地域で暮らすため、地区力の向上を図っていくことが重要ですが、地域で知り合い、触れ合い、そして支えあう取り組み、これらを確実にするための地縁ネットワークを強化していくことは不可欠だと考えております。  地区高齢者見守りネットワークは、地区の活動団体等が主体的に参加して、高齢者を取り巻く諸課題を情報共有、地区への普及啓発を図ることで、孤立した高齢者を適切な支援に早い時期につなげるものであり、参加団体間の連携を深め、地区のコミュニティーを充実させることを目指しています。  出張所・まちづくりセンターは、地区の目線、区民の立場から課題を捉え、地区力の向上に向け、地区をコーディネートするものであり、この地区高齢者見守りネットワークが今後、全区的な取り組みになるよう、あんしんすこやかセンター、そして社会福祉協議会と連携し、今後も着実に進めてまいります。  世田谷ナンバーについて、地域振興、観光振興など、民間の知恵も集めよという御指摘をいただきました。  世田谷ナンバーについては、区内の産業団体から要望書をいただいたことをきっかけに私も賛同し、区としても実現に向けた活動も進めてきたものであります。人口九十万人に近づいている都市として、世田谷ナンバーはむしろ遅過ぎたぐらいかもしれません。独立、自治、協働の気風を持ち、世田谷区に住み、働く郷土意識や地域コミュニティーの再構築に向けて、活力ある都市を目指していきたいと思います。また、世田谷区民としての意識が高まることによって、運転マナーの向上や地域活動への関心が高まるなどの波及効果も期待でき、世田谷ナンバーを通したまちづくりにつなげていきたいと考えております。  世田谷ナンバーの活用について、民間の知恵を活用してはどうかという御提案をいただきました。  世田谷ナンバーを実現する会やまちなか観光研究会の参加団体の御意見、御提案、あるいはより幅広く区民の御意見、あるいは庁内での議論、区議会での御議論を含めて検討してまいりたいと思います。  四月に実施した世田谷ナンバー新設に関する区民・事業者アンケート調査では、約八割の方からの賛成をいただきました。このアンケート結果のほか、世田谷ナンバーを実現する会の署名活動、あるいは決起大会の状況、区議会や直接いただいた区民からの御意見など、さまざまな点から総合的に判断し、六月十日までに東京都に世田谷ナンバーの要望書を提出してまいる予定でございます。  次に、保育待機児対策について、民間資産の活用も視野に入れよと御提案をいただきました。  区は、安心こども基金を活用した認可保育園の整備を中心に、待機児童対策に取り組んできました。しかしながら、就学前人口の増加を背景に、本年四月の待機児童数が八百八十四人となったことから、新たな追加対策千五百五十人分の定員拡大を取り組んでいるところであり、また、国有地の確保についても精力的に国との交渉を現在進めているところでございます。  平成二十七年に予定されている子ども・子育て支援新制度では、都市部の保育需要増大への対応を目的として、保育園の認可制度を見直し、株式会社等の設置主体を問わず、基準に適合する場合は必ず認可するというふうにされております。  都市部に位置する世田谷区において、保育所整備の最大の課題は土地の確保でございます。御提案の民間資産活用も含め、整備用地の確保に柔軟に対応できる、例えば企業等の活用も選択肢の一つになり得ると考えております。  一方、企業が規模の大きな認可保育園を運営するに当たり、その企業によっては、質の確保の点から懸念をされる点もございます。このため、私自身、厚生労働省と意見交換をしてまいりました。平成二十七年度以降の施設整備費について、株式会社やNPOもこれまでのように公的負担の仕組みを継続していくことを予定しているということ、そしてまた、認可に当たって、区としての一定の基準の設定が可能であるということを確認してまいりました。これらを踏まえて、株式会社等が参入する際の基準のあり方について検討を開始するように指示したところであります。  保育の質を最優先するという考えに変わりはございません。新制度においてもこの考えのもと、世田谷らしい保育のあり方を構築してまいりたいと考えております。  スマートシティーについて御提言をいただきました。  スマートシティー、再生可能エネルギーや省エネ型住宅など、都市機能全体を環境配慮型にするとともに、災害にも強い持続可能な町をつくることを通して、人々が新しい意識を持ち、豊かに暮らせる社会の構築につながるものと考えております。  こうした視点を持ちながら、昨年、地球温暖化対策地域推進計画アクションプランを策定し、環境モデル都市にも応募させていただきました。結果は合格とはなりませんでした。区民一人一人の生活や暮らし方に着目した点は評価をいただいたわけですが、審査講評を伺っていくと、産学共同の大プロジェクト型に関心が強いようでございますけれども、区で進めている自然エネルギーの地産地消や地域間連携については、いまだ評価をいただけなかったものと受けとめております。  一軒一軒の区民参加がもとになる住宅都市世田谷でのエネルギー転換、時代の先頭を走るフロントランナーとの自覚を持ちながら、この環境モデル都市に対して、区の提案に足らざるところは補い、また、一層具体的なものにプラン自体をしていきたいというふうに考えておるわけです。  イギリスの取り組みの御紹介がありました。これも効果的な取り組みだと思います。ヨーロッパのデンマークの島ロラン島で、風車を活用した自然エネルギーを地元の声を向上につなげていったという注目の事例がございます。七月二日にはそういったシンポジウムも開催をいたしますが、議員御指摘のスマートシティー実現に向けて、世田谷からの大きなエネルギー政策の転換に向けた布陣、そしてプロジェクトをこれから準備していきたいと思います。  また、国内の交流都市と自然エネルギー活用に関する地域間連携を探っていく予定です。  また、区内でも省エネ、節電、クールシェアの実施啓発など、さらなるいわば取り組みを進めていき、議員御指摘のレジリエントという言葉も念頭に、そういった大きな転換を世田谷区のどこでやるんだという、ある種、世田谷区の中のモデル地域という御指摘も参考にさせていただきたいと思います。  最後に、幼稚園と学校規模適正化の問題についてお尋ねがございました。  本年二月に区立幼稚園のあり方と学校規模の適正規模化について、これからの今後の計画の方向性をお示ししたところであります。  現在、区立幼稚園については、国の子ども・子育て関連三法の制度設計との調整を図りながら、その動向を見ながら、学校の適正規模化については、保護者や地域の皆さんの代表の方々と丁寧に意見交換会を開催し、検討を進めているところでございます。  いずれも、現場として、区として重要な施策でございますので、住民や保護者の声をよく聞きながら、教育委員会と連携して着実に推進をしてまいります。  以上です。    〔秋山副区長登壇〕 ◎秋山 副区長 条例化に向けて、梅ヶ丘病院跡地にがん対策の拠点を構築すべきとの御質問でございます。  区のがん対策には、がん検診の実施に加え、在宅療養患者や家族の支援を含めた総合的かつ積極的な取り組みとともに、がん予防に対する区民意識の向上が求められていると認識をしております。  梅ヶ丘病院跡地を区民の健康づくりを支援する拠点として整備するに当たっても、こうした視点が不可欠であり、現在保健センターが担っている胃がん、乳がんを中心とした検診はもとより、がんの在宅療養相談窓口の設置など、多様な機能を盛り込んでいきたいと考えております。  梅ヶ丘の拠点が区民の健康づくりの拠点として、区のがん対策においてもその役割を十分に果たすよう、関係機関とも協議しながら、整備のプランの作成の中で検討を進めてまいります。  お話のありましたがん対策推進条例につきましては、国や都の動向とともに、現在、総合的ながん対策について検討しております区のがん対策検討委員会の御議論や梅ヶ丘拠点整備プランへの区民や議会からの御意見などを踏まえながら、大切なものと認識をしておりますので、十分検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。    〔堀教育長登壇〕 ◎堀 教育長 がん教育の推進と教育ビジョンについて御答弁申し上げます。  まず、がんに関する教育の推進について御答弁申し上げます。  日本人の死亡原因の第一位となっているがんについて、次世代を担う子どもたちが正しい知識や予防の必要性等について理解していくことは重要な課題であると認識しております。  現在、小学校五、六年生では、体育の授業で病気の予防について、中学校では保健体育の授業で健康によい生活習慣を身につけることや、がんを含む疾病を防ぐための生活の改善や検査等による早期発見などについて学習しております。また、中学生には世田谷区独自の社会科資料集を配付しておりますが、その中では、保健衛生に関する専門的な機能を担う世田谷保健所や各総合支所の健康づくり課、また、がん検診や健康測定など総合的な健康教育事業を行う保健センターなどを取り上げております。  いずれにいたしましても、現在、私ども教育委員会では、新たな教育ビジョンに取り組んでおりますので、より効果的な教育方法について御指摘の点も踏まえ、検討してまいります。  次に、これまでの教育ビジョンの成果と新たな教育ビジョンの作成について御答弁申し上げます。  御案内のように、私ども教育委員会は国に先駆け、既に平成十七年度に地域とともに子どもを育てる教育を施策の第一の柱とした教育ビジョンを策定し、お話にありました教科「日本語」や世田谷九年教育、また、地域運営学校の全校指定など、特色ある教育活動に取り組んでまいりました。こうした成果は、教育フォーラムなどを通して、保護者や区民、教育関係者などに広く発信し、高い評価をいただいていると捉えております。  新たな教育ビジョン策定に当たりましては、まずはこれらの成果や培ってきた教育基盤などを基本的に踏襲してまいります。特に世田谷九年教育は今年度より完全実施となり、さらなる充実が求められるステージに入っております。  新教育ビジョンへシームレスに整合、継承していくのかというお話がありましたが、この言葉を念頭に置いて進めてまいります。また、新たに家庭教育の支援、幼児教育の推進、子ども、若者に着目した生涯学習の分野にも視野を広げてまいりたいと考えております。  先ほど区長の招集挨拶の教育ビジョンのところで、世田谷の子どもたちへの慈愛に満ちたお話がありました。教育を担当する者として、この考えをしっかり受けとめ、次世代を担う子どもたちのためによりよい教育環境が整備できるよう、新たな教育ビジョンの策定に取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎城倉 地域行政担当部長 私からは、総合支所について、地域の区分け、総合支所の役割、重点課題の御質問についてお答えいたします。  地域行政制度は、住民自治の確立に向け、住民に密着した総合的な行政サービスの展開、地域の実態に即したまちづくり、区政の区民参加を図るため、昭和五十四年度から十年の検討、準備を経まして、平成三年度にスタートしたものでございます。  議員お話しの地域につきましては、区民の日常生活圏や交通事情、それから歴史的沿革等さまざまな要因を勘案し、地域住民の合意のもとに、世田谷地域、北沢地域、玉川地域、そして当時の砧地域を二分し、一方については現在の砧地域、他方については北沢地域の一部を加えまして烏山地域として区域を設定し、各総合支所を配置しております。  制度開始後二十年余が経過し、社会状況の変化に伴い地域社会が抱える課題も変容してきておりますが、御指摘の区域の課題につきましては、スタート時の経緯や、それから、さらにさかのぼる歴史的な経緯等もあることから慎重に判断し、整理することが必要であるというふうに考えております。  また、総合支所の役割につきましては、区民ニーズが多様化、複雑化する中で、地域にかかわる事務事業や地域住民への行政サービスの総合的な展開、また、地域においてさまざまに捉えられる課題を区の施策に反映していくための取り組み、さらに、現在検討しております基本計画の中の地域計画への取り組み、あわせまして、総合支所における地域調整力の強化などと認識しており、これらを通しまして、地域コミュニティーの醸成に尽力してまいります。  以上でございます。 ◎河合 会計管理者 私からは、公会計制度についてお答え申し上げます。  公会計制度改革につきましては、区長から、新公会計制度のメリットを生かす取り組みを国の制度設計の動きを注視しながら、スピード感を持って対応するように指示を受けてございます。  現在、当区の財政規模や職員数、資産の状況などを踏まえ、当区での導入に必要な費用、効果、作業内容、推進体制等をシステムの専門事業者等に当たって調査に着手したところでございます。また、六月初めから、東京都や町田市を初め、先行実施の自治体の状況を早急にかつ精力的に見させていただく予定でございます。これらの調査とこの夏には出されると言われております国の研究会の報告を踏まえ、当面のスケジュールや今後の具体的な対応の検討に取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎宮崎 政策経営部長 私からは、武雄市を例に民間協働型の政策立案に関しましての御質問がございました。お答え申し上げます。  区ではこれまで、区民利用施設におきます指定管理者の導入など民間活力を活用し、効果的、効率的な公共サービスの提供に努めてきております。  お話がございました武雄市図書館の指定管理によります運営につきましては、民間企業と地方公共団体の事業を結びつけることによる相乗効果で、市民の利便性を向上させた新たな公共サービスの提供の方法であると捉えております。  また、この取り組みにおきましては、経費の削減も図られている点では効果が上がっているとのことですが、地元事業者との関係、運営事業者の選定方法などの検討すべき課題もあるものと認識しております。  今後、民間協働型のサービス展開につきましては、区民サービスの向上につなげていくことを軸に、効率的な運営となるのか、個人情報の課題はクリアできるかなど、メリット、デメリットなどを検証いたしまして、よりよい事業手法を探ってまいります。  以上でございます。 ◎佐藤 都市整備部長 私からは、老朽空き家対策についてお答えいたします。  いわゆる空き家対策につきましては、安全安心の観点からの空き家対策と有効活用の観点からの空き家活用があり、双方の取り組みが必要であると認識しております。とりわけ、老朽危険な空き家対策につきましては、防犯、防災、景観等の観点から重要と認識しております。  区では、建築安全マネジメント計画に基づき、昨年度、老朽化危険度の実態調査を行い、その結果、著しく老朽化が進んだ建物は十四棟、老朽化が進んだ建物は六十一棟ございました。この間、老朽化が著しい建物につきまして、建築審査課長と地域振興課長との連名で所有者へ適切な維持管理をお願いし、このたび、危険箇所の一部除却が実現した事例も出てきております。  今後はまず、老朽化が著しい建物について、所有者ごとの対策を地域振興課と連携して行い、所有者へ改善を求めてまいります。  お話しの組織体制や条例化の課題につきましては、現在行っている取り組みの評価や他自治体の取り組み等を踏まえ、今後、全庁的な課題として早急に検討していく必要があると考えます。  以上です。 ◎渡辺 施設営繕担当部長 私からは、公共施設の耐震化として、学校を除く公共施設の非構造部材の調査結果と今後の対応について御答弁申し上げます。  国では、天井材や照明器具などの震災時における非構造部材の崩落防止の強化を図るため、この間、調査検討が行われている状況でございますが、特に六メートルを超える高さにある面積二百平米を超えるつり天井のある建築物について、天井脱落対策を義務づけることを、議員お話しのとおり来年四月に法令化すると聞いております。  こうした中、施設営繕担当部におきましては、区長部局の施設について、天井の高さにかかわらず、二百平米以上の部屋を抽出し、営繕職員により、五十七施設百三十四室を昨年度中に先行して調査をしたところでございます。  この調査は天井の下地材や照明器具の取りつけ状況などについて、天井の点検口などから直接目視により調査を行ったもので、状況としましては、特に緊急性を要するところはございませんでした。また、先ごろ国から非構造部材として新たに設備配管の耐震についても指摘がなされている中、区としましては、今後、国から示される安全確保の方策を参考に、公共施設中長期保全計画で予定されている対象となる規模の改修工事では設計に反映させるなど、公共施設の安全性を確保するため、適切な対策を図ってまいります。  以上でございます。 ◎菊池 教育環境推進担当部長 私からは、学校の非構造部材の点検結果についてお答えいたします。  教育委員会では、非構造部材の耐震化は喫緊の課題と認識しており、これまでも計画的に進めてまいりました。御指摘の災害時に避難所となる体育館に設置されている照明器具やバスケットゴールにつきましては、平成二十四年度に全校において安全点検を実施し、全ての安全が確認されております。  さらに、今年度は体育館の天井や外壁などの安全点検を進めており、引き続き非構造部材の耐震化に向けて、速やかな対応に努めてまいります。  以上でございます。 ◎青山 土木事業担当部長 私からは、道路ストック総点検の一環となる、道路の路面下の空洞調査について御答弁申し上げます。  区ではこれまで、議員お話しのマイクロ波を活用した道路の路面下の空洞調査について、その実績や有効性、また経費などの点から調査研究を進めてまいりました。その結果、マイクロ波を活用した空洞調査につきましては、大田区を含め多くの自治体で実施しているなど、その実績や有効性が確認できましたので、世田谷区におきましても、道路陥没などの事故防止の観点から、来年度、早期に道路ストックの総点検の一環として実施することを考えております。  空洞化調査の対象路線につきましては、現在のところ、御指摘のバス通りや緊急輸送道路などの区道約百五十キロメートルを考えております。点検調査の結果、道路の路面下の空洞を発見した場合には、早期に埋め戻し工事を行うなど、事故防止と安全な道路交通の確保に努めてまいります。  以上でございます。 ◎内田 産業政策部長 私からは、二点御答弁申し上げます。  まず、区民と農地の共生するまちづくりを進める観点から、農業特区の提案につきまして御答弁申し上げます。  特区制度は、地域の活性化や産業の再生などのために、従来の法規制などを超えた事業ができるよう、規制緩和を行うものでございます。  お話にございました相模原市の新都市農業創出特区は、未利用農地を活用し、アグリビジネスを積極的に誘致するとともに、観光産業や法人、市民の新規参入促進などを図るものでございます。  相模原市の特区は市街化調整区域内の農業振興地域が対象であり、全域が市街化区域である二十三区内でそのまま適用することは難しいものと考えております。しかしながら、相模原市の特区の考え方にある観光への活用や農業公園の検討については、世田谷区でも取り組んでいる課題であります。  今後も農地保全推進自治体協議会などと連携し、都市農業の中でも特に厳しい環境に置かれている区部の都市農業に対し、新たな規制緩和策や支援策を行っていくよう国に要望してまいります。  次に、福祉、教育と連携し、社会福祉政策として都市農業を活用する視点につきまして御答弁申し上げます。  都市農業、農地は産業という面だけでなく、防災、環境など多面的な機能を有しております。都市農地の価値を見直し、農地を必要なものと位置づけ、官民協働で農地保全に取り組む必要があると考えております。  都市農業と教育との連携では、区内農業協同組合では、給食協力会をつくり、区内農産物を学校給食に提供するとともに、食育活動に力を入れております。また、小学校で花の栽培指導を行っており、花卉園芸組合に講師派遣を依頼しております。今年度は、講師派遣を行う学校を十校から十五校にふやし、今後も学校との連携をさらに強化してまいります。  一方、農業振興拠点として農業公園の開設を計画しておりますが、農業公園の類型の中には、子どもの食育や環境教育、若者、障害者等の自立支援等を目的とした活動プログラムを実施する教育福祉農園が検討されております。この教育福祉農園の運営には市民団体の参加を広く呼びかけ、官民協働での運営を図り、都市農業の一層の理解促進を図ってまいります。
     以上です。 ◎岡田 子ども部長 私からは、二点御答弁申し上げます。  まず、第二の産後ケアセンター設置について検討をという御質問に対してお答えいたします。  産後ケアセンターにつきましては、産後の育児不安の解消や児童虐待の予防を目的として、助産師が二十四時間常駐して、母子の身体ケアや育児相談、育児技術の伝達等を行っており、利用者から好評をいただいております。  区はこれまで、事業が認知され、利用ニーズが高まっている状況などを踏まえまして、区民が利用できる部屋数をふやしてきておりますが、利用申し込みが増加していることなどから、希望した日時の予約がとりづらい状況にございます。しかしながら、高齢出産が多い、実家が遠い、実家の親の年齢が高いなど、区の地域特性を考えますと、出産時の支援を受けづらく、育児不安を抱える家庭に対して早期に支援することは重要であり、産後ケアの充実を図っていくことが必要であると考えます。  国においても、結婚、妊娠、出産、育児における課題の解消を目指す取り組みの推進について検討を行う、少子化危機突破タスクフォースを本年三月に内閣府に設置して検討を進めており、去る五月二十八日に出された少子化危機突破のための提案の中にも、他の自治体に先駆け世田谷区が実施した取り組みをモデルとして、産後ケアの強化が盛り込まれていることから、今後、国の検討状況などの動向も注視しながら、区としても、産後ケアを必要とする方が適切に利用できるような取り組みについて検討してまいります。  次に、今後の子育てステーションの推進、京王線の駅周辺の連立事業とあわせて推進すべき、こういった御質問に対してお答えします。  区では、在宅を含めた全ての子育て家庭に対する支援の充実を図っていくことが必要であると認識しており、多機能型の子育て支援施設である子育てステーションの整備を初め、理由を問わずに子どもを一時的に預かるほっとステイや子育て中の親子が気軽に立ち寄り、交流や育児相談ができる常設の場である「おでかけひろば」の整備等の充実に努めてまいりました。  今年度におきましては、現在、子育てステーション烏山で実施しているゼロ歳児のほっとステイを他のステーションの二カ所でも実施して、計三カ所と地域展開を図ることとしております。  議員から、京王線の連立事業にあわせた駅前での事業展開の御提案をいただきました。  区では、来年度以降、次期子ども計画の策定に向けたニーズ調査の実施やサービスの地域偏在の有無等を検証していく中で、具体的なサービスメニューの充実策について検討していくことになります。  例えば「おでかけひろば」の気軽に歩いて行ける範囲での設置、ほっとステイの定員枠や場の確保、子ども・子育て支援新制度における利用者支援の取り組みなど、子育てステーション機能の必要な地域での展開も含め、必要性や立地などを勘案しながら検討してまいります。  以上です。 ◎成田 世田谷保健所長 私からは、がん対策と心の健康対策についてお答え申し上げます。  まず、がん検診の受診率向上につきましては、平成二十三年五月に設置しましたがん対策検討委員会において、平成二十八年度末までに達成すべく目標受診率を設定するとともに、これを実現するための施策を検討してまいりました。  平成二十四年度はこうした議論を踏まえ、大腸がん検診と長寿健診との同時受診を実施して、高齢者の方々の利便性を向上させるとともに、職域での健診機会が減少する六十代の六つの年齢層に胃がん検診の御案内を送付するなど個別勧奨を強化いたしました。  これにより、平成二十三年度と比較いたしますと、胃、肺、大腸、乳、子宮の五つのがんの受診者数が約一万九千人、率にして約二〇%伸びており、中期目標達成に向けて着実に前進していると考えております。  がん対策の最大の目的は、がんによる死亡者を減らすことであり、御指摘のありましたように、がん検診の受診率向上は重要な課題であります。今年度は大腸がんと特定健診との同時受診を実施し、胃がん検診の個別勧奨を拡充するなど、今後も受診しやすい検診体制の整備と個別勧奨の充実により、がん検診の受診率向上に一層力を尽くしてまいります。  次に、自殺対策を含む心の健康対策についてでございます。  お話しのとおり、医療機関と行政が連携し、早期に治療につなぐとともに、治療後も地域で継続して支援していく仕組みづくりが重要であると考えています。  これまでも区では自殺対策におきましては、医療機関を初め、関係行政機関や地域活動団体等で構成する自殺対策協議会の部会において、医療から地域での支援につなげるため、医療機関から本人や家族に手渡していただき、相談窓口を案内するためのリーフレット作成などの検討など、具体的な取り組みについて御議論をいただいてまいりました。  また、自殺未遂で救急搬送された方が再度繰り返さないためには、治療後に地域において適切な支援につなげる仕組みが必要と考えております。  現在、救急医療機関と調整を進めておりますが、救急病院と区が連携し、情報を共有しながら、地域において継続して支援を行う体制整備に努めてまいります。  次に、梅ヶ丘拠点整備における心の健康対策でございます。  梅ヶ丘拠点の整備におきましては、移転する保健センターに区民の健康を守り創造する機能として、新たに心の健康づくりに取り組んでまいります。拠点としての機能については、保健所及び総合支所との役割を整理した上で、心の健康に係る普及啓発や情報提供、思春期の早い時期での気軽な相談を含むアクセスしやすい相談支援機能、自殺予防を目的としたゲートキーパーなど、地域で活動する人材を育成する機能、地域活動団体の活動支援等の機能を中心に整備してまいります。  実施に当たりましては、区民にわかりやすく利用しやすいことが重要となりますし、より高い専門性とともに、柔軟な運営が求められております。  具体的な機能の評価につきましては、心の健康に関しての中心的役割の担い手も含め、今後、整備プラン作成の中で検討してまいります。  以上でございます。 ◆五十番(高橋昭彦 議員) 御答弁いただきました。  まず、老朽放置空き家です。空き家対策というのは、有効活用ともう一つは危ない空き家はどうするのかというものが……。私の近くも、庭に草がぼうぼうになっていて、壁が剥がれ落ちて、それが蔦が絡まって隣の家まで入ってくるだとか、子どもたちも自由に入れてしまうような状況なんで、中には動物がいるようだみたいな状況なんです。こういうところをどうするのといっても、なかなか手をつけられないんですよというのが今までの状況でした。  二年前の震災以降、区長はやっぱりこういったところ、安全な世田谷区をどうつくるのかというほうに力を入れてきたと思いますよ。こういうところをきちっとやらないと、特に有効活用というよりも、これは危ないところをスピード感を持ってやるのが大事な世田谷区としての行政の役割だというふうに思います。もう一度、責任ある回答をお願いいたします。  もう一つ、がん対策ですね。この条例化ということについては、もう何回も何回も私どもは言わせていただいています。条例化の意味も今回はもう少し踏み込んだ形で言わせてもらいましたけれども、これはさまざまな検討機関もあるとは思いますが、これは区長の本気度だと思いますよ。世田谷区のがん撲滅をしていくつもりがあるのかどうかという。本気度とリーダーシップにかかっていると僕は――そういう意味で、これは区長の答弁を願いたいと思います。    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 再質問にお答えします。  がん対策について、決意を持って臨めということを再三、以前からも御指摘を受けております。私自身、現代社会にあって、がんに対して有効な取り組みをし、また、がんによって命を早い段階で奪われていく友人たちもおりました。ということで、保健所長からの答弁がありました。条例について、どのような効果を上げていくのか、あるいは学校におけるがん予防教育のあり方はどうか、このあたりがポイントかと考えております。  これは聞くところによると、豊島区で条例ということで取り組まれているということですので、高野区長とは再三いろいろなテーマで意見交換をしております。ぜひ豊島区の事例もよく聞いて、議員の提案について早急にお答えができるように努力してまいります。    〔板垣副区長登壇〕 ◎板垣 副区長 老朽家屋の対策について再質問にお答えさせていただきます。  先ほど都市整備部長が答弁しましたとおり、現在、実態調査を踏まえまして、総合支所とも連携して、緊急度の高いものから所有者へ改善を求めているところでございます。  御承知のとおり、建物があれば固定資産税が六分の一に減免されているという、つまり逆に言いますと、建物を除却すると固定資産税が六倍になってしまうという税制の制度もありまして、これらもこの老朽家屋の除却について大きな課題となっているものと考えております。  いずれにしましても、まずはこの所有者への改善を求める取り組みを着実に進めまして、この評価等を踏まえながら、御提案の組織、条例化の検討も含め、都市整備領域、区民生活領域、全庁的な体制で早急に検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。 ◆五十番(高橋昭彦 議員) 今、副区長からも全庁挙げてという話がありました。そういう意味では、庁内の中にPTをつくってでも、どういう対応ができるのかということをしっかりやっていただきたいと思います。  区長もいろいろ答弁をいただきましたが、やりますという一言が欲しかったです。そういう思いで、ぜひともやっていただきたいと思います。  以上で終わります。 ○山口ひろひさ 議長 以上で高橋昭彦議員の質問は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午後二時四十三分休憩    ──────────────────     午後三時五分開議 ○山口ひろひさ 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。     ──────────────────── ○山口ひろひさ 議長 この際、議事の都合により、本日の会議時間をあらかじめ延長いたします。     ──────────────────── ○山口ひろひさ 議長 代表質問を続けます。  生活者ネットワーク・社会民主党を代表して、二十三番唐沢としみ議員。    〔二十三番唐沢としみ議員登壇〕(拍手) ◆二十三番(唐沢としみ 議員) 生活者ネットワーク・社会民主党を代表して、質問通告に基づき質問いたします。  まず、平和を希求するための憲法の意義について伺います。  先日の橋下大阪市長の従軍慰安婦問題や米軍への風俗業活用など一連の発言は、人権を無視するものというだけでなく、人が人でなく、人を物扱いする戦争そのものを容認する発言であります。人権意識の貧しさには、リーダーの素質そのものを疑うものであります。  まず、私たちが国際社会でするべきことは、戦争を放棄した現在の日本国憲法の理念に沿い、戦争をしない国際社会づくりに力を尽くすことです。世田谷区から平和を希求し、発信する力をさらに強めるべきです。区長のお考えをお聞きします。  現在、改憲を目指す勢力が勢いを増し、我が国の平和と人権が危機にさらされようとしています。日本国憲法は、国民主権、基本的人権、平和主義という三原則によって構成された条文規定であり、世界の平和に貢献してきたことは明らかです。そもそも憲法は、国家権力が国民に対して権限を規制するものではなく、国民が国家を規制するものであります。  憲法改正手続を規定する条文九十六条の改正によって改憲要件を緩和しようという動きがありますが、その時々の政権や国会の党派構成の変化によって容易に憲法を改正できない仕組みをつくっておくことは、国民の権利を守るためには必要不可欠なものです。よって、九十六条を緩和しようとする動きは許されないものです。  日本国憲法は言うまでもなく、戦後の我が国の平和と繁栄の礎となってきました。憲法に掲げられた理念を実現することこそが政治の使命であり、政治家は憲法の理念の実現こそ、その力を使わなければなりません。憲法を守り、暮らしに生かしていくことが重要です。  そこで、日本の平和憲法の意義について、区長のお考えをお伺いいたします。  次に、世田谷区が向かうべき将来像について質問します。  保坂区長が就任されてから二年間が経過しました。そこで、四年間の任期の折り返し点を迎えた今、これまでの二年間の取り組みをどのように評価しているのか、また、これからの二年間で何を目指そうとしているのか、区長の率直な御意見と抱負を伺います。  私たちが考える区の将来像は、情報公開を基本とした住民参加が、あらゆる世代、方策で実現することで市民自治が進み、民主主義が浸透、成熟するという姿です。また、誰もがありのまま暮らせる、排除のない人権尊重社会が実現していることも重要であります。今回示された基本構想の素案は、こうした理念が貫かれています。ゆえに、私たち会派は、基本構想の素案に示された九つのビジョンを高く評価いたします。  今後二十年の世田谷区の基本的な理念として掲げていくためにも、区民の代表である区議会がその意義を共有し、基本構想として掲げる意思を明確にすることに大きな意味があります。  そこで、基本構想を策定することの意義と議決の必要性について、改めて区の見解を伺います。  さらに、区長が区政運営の基本としている区民参加と情報公開は、ようやく浸透してきたと感じております。現場で苦労を区民と分かち合い、ともに育っていく職員こそが、困難な課題を解決して、区政を前進させる原動力です。かつて西の神戸、東の世田谷と言われた時代、多くの職員たちが世田谷らしい先進的な取り組みに、区民とともに積極的にチャレンジしてきました。この誇るべき財産と保坂区政で新たに息づき始めた力を融合させて、新しい世代に引き継いでいくことが、今の区政にとって大切な鍵となります。  今後は、これまで以上に区民も職員も主体的に一体となって取り組む参加の実現が問われていると思いますが、区のお考えをお伺いいたします。  次に、区民生活の向上について伺います。  私たち会派は、デフレ脱却の方策は、収益を上げた企業が労働者の賃金を引き上げ、最低賃金を上げることで所得を伸ばし、消費が伸び、徐々に物価が上昇し、生産が伸びていくという本来の経済循環を取り戻すことだと指摘してきました。ところが、金融緩和、規制緩和に頼る国の政策、いわゆるアベノミクスは、これまで続いてきた経済の低迷に対し、非正規雇用の拡大やワーキングプアの増加や格差を広げ、区民生活がさらに悪化しかねない内容です。年金に頼る高齢者など、物価上昇などに対する不安感を増大させているのが現状です。  このような状況の中で、労働環境の改善を目指し、改正労働契約法が四月から施行されました。五年を超えて更新される有期労働契約を無期労働契約に転換できるいわゆる五年ルールが目玉です。しかし、運用が正しくされなければ雇いどめが横行するなどの懸念があります。  区としても、法改正の趣旨の周知に努め、労働者一人一人が正しく権利を行使できるよう支援していく必要があると考えます。改正労働契約法の正しい運用について、区はどのように対応していくのかお伺いいたします。  サービス残業や長時間労働、また最低賃金すら守られない労働環境を早急に改善するためにも、まず公の仕事の環境を改善し、官製ワーキングプアをなくすことに区は力を注ぐ責任があります。そのためにも、公契約条例は早急に制定すべきです。そして、条例には世田谷区の公共事業にふさわしい最低賃金を明確にするなど、具体策を盛り込む必要があります。このことについて、区の見解を伺います。  次に、保育政策の推進について質問いたします。  ことしの保育待機児童数は八百八十四人と過去最高になりました。この背景には、子育て世代の就労環境の問題、またこれまで進めてきた保育政策の失態も関係していると考えます。そもそも保育室や保育ママに関しては、東京都が保育サービスのニーズを無視し、正しい評価をすることなく支援を打ち切ってしまったことが問題です。  そこでまずお伺いいたします。これまで地域で大きな役割を果たしてきた保育室などについて、再評価し、支援策を充実するよう、東京都に強く求めるべきと考えますが、区のお考えをお伺いいたします。  また、子ども・子育て関連三法については、平成二十七年度の本格実施に向けて、さまざまな検討が進められています。国の検討状況を見ると、株式会社、営利事業者に道を開こうとするなど、質の確保に懸念を抱かざるを得ない内容も含まれています。子どもたちの成長を保障するためにも、保育の質を守ることは私たち大人の責任です。  これまで区は他自治体と比較しても高いレベルの保育の質を守ってきたと私たちは考えています。今後は、子どもたちのために、世田谷区独自の基準や保育の質を守るための仕組みを守り、発展させていくべきです。国の制度の詳細が決まる前に国に働きかけ、保育の質を確保するための具体的な提案を行うなど、区は保育の質の確保に向け、どのような方策を考えているのか伺います。  一方、区が保育園整備を進めるための土地などの確保には限界があります。これまでも国有地の活用を提案してきましたが、さらに、強い国への働きかけを求めます。区のお考えをお伺いいたします。  次に、人権尊重、男女共同参画社会の実現に向けて質問いたします。  私たち会派は、男女の区別なく、誰もがありのまま個人として尊重され暮らせる社会を目指すべきと主張してきました。この間、先送りになったいわゆる女性手帳の配布や安倍首相の女性の産休をめぐる三年はだっこし放題発言など、これまで国が進めてきたはずの男女共同参画政策を後退させるような事態が続いております。現実問題として、例えば女性が三年間労働現場から離れた後、再び職場に復帰できることは考えられません。また、子育ては女性が三年間育児休業をとることで賄えるものではありません。男性の育児休業取得が伸びない理由にも、現場の男女差別の背景があると考えます。  改めて男女共同参画社会を推進することの使命を強く感じています。区は区の男女共同参画プランを着実に推進することで、いまだ道半ばの男女共同参画社会実現に向けて、その取り組みを強化すべきです。区の見解をお伺いいたします。  また、今後とも一人一人の人権を守り、性別にかかわらず、みずからの力を生き生きと発揮できる地域づくりやワークライフバランスの一層の推進が必要です。今後の取り組みについてお聞きいたします。  次に、世田谷区の目指す環境・エネルギー政策について伺います。  先日、用賀のマンション計画に対する近隣住民からの陳情が委員会で審査されました。周辺住民は建設そのものを否定するというわけではありませんでしたが、一団地認定のあり方など、関係法令の運用の仕方によっては近隣の環境が大きく変わることを心配する内容でした。  区は、平成二十二年に街づくり条例を改正し、事業者が計画を変更できる段階でまちづくりの考え方を事業者に伝える、建築構想の届け出という仕組みを導入しました。しかし、世田谷らしい住環境を守り、将来につなげるためには、この仕組みだけでは足りません。都市デザインの観点から、都市環境、特に世田谷らしい風景を守る仕組みを強化すべきと考えますが、見解をお聞きいたします。  また、区は、環境配慮型リノベーション事業、省エネルギー対策資金の利子補給、公共施設の屋根貸し事業など、エネルギーの地産地消の対策を進めております。世田谷区内にも区民が主体的になって、個人が出資し、発電し、電気を利用するという市民共同型発電所が幾つか動き始めています。このように、動き出した市民の力を世田谷区にも結びつけ、より大きな活動へと発展させることが必要です。  そこで伺いますが、エネルギーの地産地消に向けて、このようなさまざまな動きを連携させ、発展させていくことが必要と思います。区のお考えをお伺いいたします。  次に、世田谷型地域福祉の充実について質問をいたします。  保健福祉総合計画の検討が進んでおります。全国に先駆けて取り組んできた世田谷型の地域保健福祉をますます発展させるために、真摯な論議を期待いたします。地域に住む、暮らすを軸にした、高齢者の生活をトータルに支える医療と福祉の連携が必要です。区民の願いは、どのような状況になっても住みなれた場所に住み続けられるということです。その願いを実現するためには、地域包括ケアの充実が必要であり、喫緊の課題です。今後ますますふえる老老介護などでの介護する側への支援も急がれます。また、二十四時間の支援体制に加え、身近な地域での施設整備も必要です。  そこで、世田谷らしい地域包括ケアの実現に向けて、区の見解をお伺いいたします。  最後に、子どもが主役の教育の実現に向けて質問いたします。  これまで教育委員会は、教科「日本語」を初めとして教育改革を進めてきました。今後は、現場で子どもに直接接する先生方の意見を世田谷区の教育に生かしていくことが必要だと考えます。現場が主体となって取り組む教育行政への転換が問われていますが、教育長の見解をお伺いいたします。  また、新たな基本構想の素案では、教育環境の整備と並んで個人の尊厳が尊重され、全ての人が自分らしく暮らせる地域社会など、教育にとっても重要な理念がうたわれています。具体的には、全ての子どもの人権が尊重されることです。配慮を要する子どもでも、不登校の子どもでも、どのような状況にあっても一人一人の学習権の保障が求められます。また、人権教育の具体的なプログラムを位置づけるなど、世田谷区の教育の特色としていくべきであります。  そこで伺います。子どもの人権を守り、個性や能力を伸ばし、豊かな人間性をはぐくむ上からも、学習権の保障や人権教育について、新しい教育ビジョンでどのように位置づけるのか、その辺について教育委員会の見解をお伺いいたします。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
       〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 唐沢議員にお答えします。  まず、憲法についてお話がございました。  議員のお話しのように、戦争しない国際社会づくりに、国民に最も近い自治体行政として、平和を希求していくことの区の役割は大きいものと認識をしております。  区では、核兵器廃絶と世界の恒久平和を願った平和都市宣言に加えて、平成二十二年には、現時点で世界百五十六カ国の地域の都市で構成される平和市長会議に加盟するなど、平和の大切さを訴えてまいりました。昨年度私も参加いたしましたが、長崎市で行われた平和市長会議国内加盟都市会議でございますが、各市の平和に対する取り組みに触れて、改めて地域自治体の取り組む平和希求の大切さを認識しているところであります。  区でも、今年度も、平和映画祭や戦争体験者の語り部の方にお話を伺って次の世代に引き継ぐ努力を継続しておりますし、区民の方々に向けて平和の大切さも発信していきたいと考えております。  世界平和の実現には、国同士の関係に限らず、国民同士が互いに理解し、信頼や友好関係を築いていくことが大変重要であると考えています。そのために、今後ともさまざまな機会を捉えて区民に平和の大切さを訴えていくとともに、現在移設を計画しています仮称平和資料館やせたがや平和資料室地域巡回展等を通して広く発信してまいりたいと思います。  憲法は、国内外で多くの犠牲者を出したかつての悲惨な戦争体験を乗り越え、日本の民主主義の基盤を確立する重要な土台であるというふうに考えております。とりわけ国民主権を確立した意義は大きいものと考えています。この国民主権のもとで、有権者主権、納税者主権、消費者主権など、国の形を少しずつ変える努力が営々と続いてまいりました。議員御指摘の立憲主義は、統治権力を国民が縛り、その暴走を規制していく、ここに核心があるものと考えております。区としては、区政と区民の暮らしの根幹である憲法を尊重し、憲法の理念に即した区政運営を行い、豊かで平和な社会の実現に向けて取り組んでいきたいと考えております。  次に、世田谷が向かうべき将来像、二年間を振り返ってというお尋ねがございました。  区長に就任後、東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故を契機として、大きな社会的転換を迎えていることから、平成二十三年八月に区政運営方針をお示しし、強固な行財政基盤の確立と区政の新機軸に防災・災害対策を加えて転換を図ることを申し上げてまいりました。この間、この防災、減災を基軸とした区政全般の見直しを行い、災害対策総点検によって、災害対策本部機能の移転や区役所敷地内の地下水、井戸水の活用など、災害に備えていく機能を充実させるとともに、子ども、若者は未来の宝と位置づけ、保育サービス待機児の解消や子ども人権擁護の仕組み、せたがやホッと子どもサポートなど、子育て支援の充実にも全力で取り組んでまいりました。  また、顔と顔が見える自治のまちづくりの実現を目指して、情報公開を一層進めるほか、車座集会や、あるいは無作為抽出による区民ワークショップの開催など、さまざまな区民参加の機会を設けて、基本構想の策定や地域行政制度の見直しなどを進めてきたところであります。  今後、基本構想案に込められた九つのビジョンの目標や理念を踏まえ、区民の皆様と区議会からの御意見をいただきながら基本構想と基本計画を策定してまいりますが、政策の具体化に向けても区民参加の取り組みを広げまして、さらなる区民参加型の区政運営のもとに、災害に強い福祉文化都市を目指してまいります。  以上です。    〔板垣副区長登壇〕 ◎板垣 副区長 私からは、職員が区民と一体となって区民参加の実現に取り組むべき等の質問に対しましてお答えさせていただきます。  国による地方分権改革により、国から地方への権限移譲は着実な流れとなっております。地方分権改革の基本理念は、地方公共団体がみずからの判断と責任において行政を運営することを促進するものであり、このいわゆる自己決定、自己責任の原則に基づく自治体経営には、住民参加の積極的な拡大、多様化が不可欠であります。  区では、平成二十二年に世田谷区地域活性化に向けた指針を策定し、地域におけるさまざまな人々の参加や活動を促す取り組みや従来の枠にとらわれない発想や手法による事業の展開など、区民主体のまちづくりを活性化させるため、全庁を挙げて取り組んでおります。  今後も真の地方自治は住民の意思と責任に基づいて形成されるべきであるという基本認識のもとに、議会での議論はもとより、さまざまな手法を駆使しながら、職員と区民が一体となった住民参加の拡大、多様化を図ってまいりたいと考えております。  以上でございます。    〔秋山副区長登壇〕 ◎秋山 副区長 私からは、保育の質の確保に向けた方策についてでございます。  平成二十七年度に予定されている子ども・子育て支援新制度においては、保育所の設置認可にかかわる取り扱いが改められ、保育需要が充足されていない地域では、社会福祉法人や株式会社など、設置主体を問わず、審査基準に適合しているものから保育所の設置に係る申請があった場合には認可するものとされております。このような状況においても、保育所は子どもの最善の利益のため、子どもの健やかな育ちを保障し、保護者の子育てを支援できる施設でなければなりません。  先日、厚生労働省を訪問した際に、認可に当たり、自治体として一定の基準の設定が可能であるとの見解も得ており、事業者が参入する際の基準のあり方などについて検討を開始したところです。  さらに、世田谷らしい保育の質を確保、向上するためには、運営開始後の日々の運営に対する指導体制の強化や保育の担い手である保育士の専門性を向上させる研修体系の充実、地域のさまざまな保育施設が、情報と専門性を共有し、連絡、連携協力体制を築く保育ネットの活動支援などが必要であると考えます。区として、保育の質を確保する仕組みをさらに充実して、拡充してまいります。  世田谷らしい地域包括ケアの実現についてでございます。  地域包括ケアシステムとは、ニーズに応じた住まいが提供されることを基本とし、生活上の安全安心、健康を確保するために、医療や介護、福祉やサービスを含めたさまざまな生活支援サービスが日常生活の場で適切に提供される仕組みと捉えています。  区では、認知症高齢者グループホームや都市型軽費老人ホームなど、高齢者が安心して暮らせる住まいの確保を計画的に進めるとともに、二十四時間対応の定期巡回随時対応型訪問介護看護の導入など、先駆的に取り組んでまいりました。また、医療連携推進協議会を設置し、在宅で安心して療養できる体制の構築に向け、保健、医療、福祉の連携強化を図っております。さらに、成年後見センターを中心とした成年後見制度の普及促進などの権利擁護に取り組むとともに、高齢者の多様な見守り施策を推進しております。  区といたしましては、介護を必要とする高齢者を初め、支援を必要とする全ての人が、住みなれた地域で安心して暮らし続けられる地域社会の実現に向け、地域包括ケアシステムの一層の充実に取り組んでまいります。  以上でございます。    〔堀教育長登壇〕 ◎堀 教育長 子どもが主役の教育の実現に向けてという御質問をいただきました。  教育委員会では、現在、平成二十六年度を初年度とする新たな教育ビジョンの策定に取り組んでおりますが、新たな教育ビジョンでは、世田谷九年教育を初め、特別支援教育の推進など、世田谷区がこれまで取り組んできた教育の一層の充実、発展に努めていく考えでおります。  教育ビジョンを実際の教育活動に反映していくのは、お話にありましたように、区立小中学校の校長を初めとする学校現場の教職員でございます。そのため、ビジョン策定に当たっては、教職員の意見を踏まえながら取りまとめていく考えでおります。  教育ビジョンの会議体である懇話会や策定委員会、また具体的な事業について検討している検討部会には、教育委員会事務局の幹部職員やPTA等の代表のほかに、小中学校の校長にも参加していただき、学校現場における児童生徒の実態や保護者のニーズを踏まえた意見等をいただいております。  さらに、世田谷区の教育施策の推進や教職員が子どもと向き合う時間確保に向けて、小中学校の副校長会や学校現場の教職員との意見交換なども実施する予定でございます。  今後も教育委員会と学校が一体となり、学校現場の声を反映させながら、新たな教育ビジョンの策定や学校教育の充実、発展に取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎田中 基本構想・政策研究担当部長 私からは、基本構想を策定することの意義と議決の必要性についてお答えいたします。  国から地方への義務づけ、枠づけの見直しの一環として、平成二十三年五月の地方自治法の改正により、区市町村は基本構想を議会の議決を経て策定するという義務規定が削除されました。しかし、地方自治法にうたわれた総合的かつ計画的な行政運営を図るための基本構想を策定することの意義は、法改正後でも変わるものではありません。むしろ地方分権改革の流れを受けた法改正の趣旨を踏まえれば、中長期的な視点と区政運営全体を貫く総合的な考え方である基本構想を策定することは、ますます重要になるものと考えます。  さらに、この基本構想を行政運営の方針にとどまらず、世田谷区という自治体の意思として策定し、区民や事業者と共有していくため、区民の代表である区議会の議決を経て策定する必要があると考えており、議決すべき事件として定めるための条例を今議会に御提案させていただいたところです。  以上でございます。 ◎内田 産業政策部長 私からは、労働契約法の改正に伴う区の対応につきまして御答弁申し上げます。  この四月に施行されました労働契約法の内容は、パート労働や派遣労働などのいわゆる有期労働契約が反復更新されて通算五年を超えたときは、労働者の申し込みにより、期間の定めのない労働契約に転換できること、二点目は、有期契約労働者と無期契約労働者との間で期間の定めがあることによる不合理な労働条件の相違を設けることを禁止するの二点でございます。  この法律改正を踏まえ、区では区内企業に対して、企業向け産業情報誌「せたがやエコノミックス」や産業団体の会議等の場で、国のリーフレット等を活用して法律改正の情報提供を行ってまいります。また、産業振興公社では、社会保険労務士による労働相談を行っているところですが、窓口にリーフレットを置くなど、区民周知に努めております。引き続き、区民が安心して働ける雇用環境の整備に向けて取り組んでまいります。  以上です。 ◎金澤 財務部長 公契約条例について御答弁申し上げます。  公契約条例とは、御案内のとおり、契約における請負工事などにおいて、労働者の賃金を一定額以上に保とうとすることが主な目的の条例であり、そのことも含め、労働者の適正な労働環境を確保しようとするものでございます。  しかしながら、労働政策は区の事務であるかどうか。また、憲法が法律で定めることとしている勤労条件に関する基準について、条例で何らかの制限をかけることは最低賃金法を初めとする法令に抵触するおそれがあるのではないか。長の専権事項である予算執行権の一部をなす契約について、区の条例として具体的に規制をかけることは妥当なのかどうか。対等、平等が大原則である契約を用いて区が事業者に規制をかけられるかどうかといったさまざまな克服すべき法的課題があるものと認識しております。  労働条件の向上や地域経済の活性化というお話もございましたが、いずれにいたしましても、八月末には公契約のあり方検討委員会での最終報告が出される予定であり、それを受けて、引き続き、条例制定を視野に入れた検討を重ねてまいります。  以上です。 ◎岡田 子ども部長 私からは、二点御答弁差し上げます。  一点目が、保育室などを再評価し、支援策を充実させよということでございます。御答弁申し上げます。  保育室は、現在十六施設、定員四百五十三名で、ゼロ歳から二歳の乳幼児の保育を実施しております。小規模な施設の特色を生かした保育を行い、保護者から高い評価をいただいておると認識しております。  東京都は平成二十二年度限りで保育室の制度要綱を廃止しており、区単独で運営費補助を継続してまいっております。一方、国におきましては、平成二十七年に予定されている新制度に向け、小規模保育などの地域型保育事業の設備及び運営の基準の検討が始まっております。また、この四月に国が発表した待機児解消加速化プランでは、認可保育所を目指す認可外保育施設に対して、整備費や運営費、移行費の支援を行うとしております。  区といたしましては、国の基準検討部会の動向や加速化プランの具体化を見きわめながら、保育室の運営事業者と情報共有を図り、保育室がこれまで培ってきた小規模保育のよさを引き継いでいくことに留意し、子ども・子育て支援新制度の給付体系への移行に向けて支援に努めてまいります。  次に、認可保育所の整備に向け、国有地の活用をさらに強く国に働きかけよという御質問に対して御答弁申し上げます。  区は平成二十三年、太子堂と北沢で全国で初めて官舎などの国有地を活用した百二十人規模の認可保育園を二カ所整備いたしました。こうした取り組みは、まとまった空き地がない大都市では、多くの定員数を設定することが可能となるとともに、園庭も確保できることから、保育園建設可能な区有地に限界が来ている状況では、待機児の解消に大きな効果が期待できるものと考えております。  区内には多くの官舎など国有地があり、先日発表いたしました新追加対策の柱でもあります国有地のさらなる活用に向け、現在、国と精力的に交渉を行っており、今後ともこうした資源をぜひ活用して認可保育園の整備を進めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 ◎齋藤 生活文化部長 二点質問いただきました。まず、今後の男女共同参画の区の取り組みについてでございます。  区は、平成二十五年から世田谷区男女共同参画プラン調整計画に基づきまして、男女がそれぞれの個性と能力を十分発揮できる社会の創出を将来像として掲げまして、男性も女性も性別にかかわりなく、一人一人がかけがえのない存在として尊重され、伸びやかにその人らしく生きることができる社会に向け、さまざまな取り組みを進めているところでございます。  今後も全ての人が個性を発揮し、生き生きと働き、暮らしていくことができる世田谷を目指し、力を注いでまいります。  続きまして、ワークライフバランスの一層の推進についての今後の取り組みについてでございます。  これまでも家族や地域などについて考えるきっかけづくりの取り組みや事業者への意識啓発として、仕事と家庭の両立に積極的に取り組んでいる事業者への男女共同参画先進事業者表彰を実施するなど、普及啓発に努めてまいりました。しかしながら、ワークライフバランス推進の基本理念の理解や認知度がまだ社会の中で十分浸透していないと認識しております。  こうした状況を踏まえ、引き続き区民への啓発に取り組むとともに、事業者表彰の取り組みの活性化を図るとともに、好事例集を作成いたしまして、一層の事業者への発信、啓発を行うなど、ワークライフバランスの推進に努めてまいります。  以上でございます。 ◎佐藤 都市整備部長 私からは、都市デザインの観点から都市環境を守る仕組みの強化についてお答えいたします。  区では、調和のとれた街並み形成を図り、世田谷らしい魅力ある都市環境づくりのために、住環境整備条例や風景づくり条例、また街づくり条例など、さまざまな条例や地区計画制度などを活用し、総合的な取り組みを進めてきております。  お話しの世田谷らしい風景を守る取り組みという観点でございますが、区では、平成二十年四月に景観法に基づく風景づくり条例を施行し、風景づくり計画を策定しております。この風景づくり条例に基づきまして、一定規模の建設行為に対して届け出制度を行っております。届け出に際して事前調整会議を開催しておりますが、今後ともより効果的に運用するため、風景づくりに専門的な知識を有する世田谷風景デザイナーとともに、風景づくりの基準に沿った計画になるよう、一層きめ細かな指導、誘導の強化に努めてまいります。  また、今年度は、区民との協働による第三回地域風景資産の選定を行いますが、こうした区民参加による風景づくり活動も積極的に行いながら、区の魅力的な風景、良好な都市環境づくりに取り組んでまいります。  以上です。 ◎松本 環境総合対策室長 エネルギーの地産地消に向けて区民生活とどう連携し、発展させるかとの御質問に答えをいたします。  昨年七月にスタートいたしました再生可能エネルギーの固定価格買取制度を契機に、各地で市民が共同で太陽光発電に取り組む事例が生まれており、区内でも、区民の方々が寄附を募り、民間施設に太陽光発電設備を設置する動きがございます。  こうした取り組みは、身近なところで自然エネルギーを活用した発電に市民が参加する機会であることから、エネルギーの地産地消を進める有効な手法と考えられます。  区民活動との連携でございますが、産業団体や大学、市民団体等の参加により発足した自然エネルギー活用促進地域フォーラムの場などを通じて、区内外の市民共同型の太陽光発電の情報の共有化を図るほか、フォーラムでの情報を区のホームページなどで発信し、支援と連携に努めてまいります。  あわせまして、今年度取り組みます公共施設での太陽光発電屋根貸し事業においても、市民団体の皆さんの取り組みを視野に入れながら、世田谷らしい仕組みづくりを進めてまいりたいと存じます。  以上でございます。 ◎伊佐 教育政策部長 私からは、新たな教育ビジョンで不登校、要配慮児への対応、人権教育をどう位置づけるかにつきましてお答えをいたします。  教育委員会では、これまでも学校とともに子どもたちが安心して楽しい学校生活を送るためのさまざまな環境づくりを進めてまいりました。例えば不登校の児童生徒への教育支援として、不登校の相談窓口の設置や不登校の子どもの居場所であるほっとスクールの運営などに取り組むとともに、配慮を要する子どもへの教育相談の充実や特別支援教育の推進などに取り組んできております。現在策定を進めております新たな教育ビジョンにおきましても、これらの取り組みの一層の充実を図ってまいりたいと考えているところでございます。  また、人権教育は世田谷の教育の基盤となるものであり、全ての子どもの人権を尊重することは大変重要であると認識しております。各学校では、全ての教育活動を通して、子どもたちの発達段階に応じて計画的に人権教育を推進しております。新たな教育ビジョンにおきましても、多様な人権課題に対応する人権教育をより一層組織的、計画的に推進し、その充実が図られるよう取り組んでまいります。  以上でございます。 ◆二十三番(唐沢としみ 議員) それぞれのところから答弁いただいたわけですが、ちょっと触れておきたいと思いますが、労働契約法の正しい運用と公契約条例制定について触れた答弁があったんですけれども、区内の最大の事業者として、いわゆる委託事業者を含めて世田谷区の働く、労働環境の改善とか、あるいは雇用の安定など、当然区としても責任があると思いますので、中には最低賃金を定めて効果を上げているというような実例もありますので、ぜひともその実施に向けて、さらに状況を見ながら検討していただきたいことを、公契約条例などを含めて、進める中でしていただきたいと思います。  また、基本構想、基本計画については、ぜひ区民の多くの参加の工夫をしながら、区政にかかわる場を広げていっていただきたいことを特にお願いいたしたいと思います。  以上で終わります。 ○山口ひろひさ 議長 以上で唐沢としみ議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○山口ひろひさ 議長 次に、日本共産党を代表して、四十四番村田義則議員。    〔四十四番村田義則議員登壇〕(拍手) ◆四十四番(村田義則 議員) 日本共産党世田谷区議団を代表して質問いたします。  まず、憲法問題についてであります。  安倍首相が憲法改定のハードルを下げようと九十六条の改定を言い出しました。九十六条が憲法改定発議要件を両院の三分の二以上としているのは、憲法を時の権力が都合よく変えることを抑えるためです。これが立憲主義の原則です。この立憲主義を踏み外す九十六条改定に対して、学者、知識人など各界の人たちが、護憲、改憲の立場を超えて九十六条の会を結成し、反対の意思を表明しました。  今週号のしんぶん赤旗日曜版には、古賀誠さん、元自民党幹事長ですが、登場して、九十六条改憲に大反対、絶対にやるべきではないと表明し、マスコミで話題となっております。  区長は九十六条改定にどのような立場か、また、改定を断念させるための具体的な行動の意思があるのかについて伺いたいと思います。  次に、防災対策、格差と貧困の対策、行政改革の三つのテーマで区長の基本姿勢について伺います。  初めに、防災対策についてです。  この間、区は、新しい災害対策本部施設や深井戸、二子玉川公園災害対策機能の整備など、精力的に防災対策に取り組んできました。また、出張所・まちづくりセンターに防災担当職員を配置し、地域・地区での防災対策の強化にも取り組んでいます。これらの取り組みを評価いたします。こうした中で、区民の防災意識も着実に高まり、昨年度の住宅耐震診断などの件数は、数年前の一・五倍から二倍となっております。  一方、内閣府が発表した南海トラフの巨大地震対策の最終報告では、最悪の場合に死者は三十二万人になるとされ、しかも同時期に発表された地震調査委員会による地震発生確率は、今後十年以内だと二〇%程度、五十年以内だと九〇%以上とされております。震源域にある浜岡原発に被害が及べば、関東、東京の放射能汚染の危険も大変大きくなります。区として浜岡原発の事故を想定した対策は不可欠と考えます。  我が党は一貫して防災対策の中心は減災対策であるとして、住宅、マンションなど建築物の耐震化対策の強化を求めてまいりました。防災対策の基本は、あらゆる可能性を想定して、その被害を最小限にとどめることです。減災対策に対する認識とその課題について区長の見解をお示しください。  昨年度東京都が行った調査では、区内にある旧耐震基準の分譲マンションは約千棟、そのうち八割強が耐震診断さえ行われていないと推計されています。木造の未耐震住宅は数万棟に達しています。住宅、マンションの耐震化の一層の促進に取り組むことを求めます。見解を伺います。  区長の基本姿勢についての質問の二つ目は、格差社会への対応です。
     区内でも格差と貧困が拡大し、格差社会への対応が大きな課題となってきています。政府統計でも年収三百万未満の世帯が全体で三二%、母子世帯では七割に及んでいます。母子世帯では三割が貯蓄ゼロということです。相対的貧困率は年々上昇し、一六・〇%となり、OECD加盟国の中で第三位という高さです。生活保護の受給者数も過去最多の二百十万人に達しています。しかも、我が国の生活保護の捕捉率は他国と比べても大変低いと指摘されているのです。  こうしたことで、我が党は経済的弱者に優しい区政、貧困の連鎖を断ち切る対策など、格差と貧困に対する対策を区政運営の重要課題として取り組むことを強く求めます。  区長は経済的格差の問題をどのように捉え、今後の区政運営の中でどのように位置づけるのかについて見解を伺います。  以下、子どもの貧困、生活保護制度、国保と介護保険制度の三つの分野で格差と貧困に対する区の対応を伺ってまいります。  第一は、子どもの貧困対策です。  日本で貧困な状態に置かれている子どもは三百二十六万人と推計され、貧困の連鎖を断ち切る対策が強く求められてきました。こうした中、子どもの貧困対策法が衆議院厚生労働委員会で全会一致で可決の運びとなりました。同法案は、子ども等の貧困を解消することを目的に、子どもの貧困対策に関する計画の策定と国等の責務などを定めています。法制定に向けて努力された関係者の皆様に深く敬意を表したいと思います。  同法案の制定により、子どもの貧困対策の一層の拡充、貧困解消に向けた着実な成果が期待されます。区として、子どもの貧困対策に今後どのように取り組むのか、区長の見解を伺います。  また、その具体的課題として、以下の三点について区の対応と見解を求めます。一つは、就学援助と学習支援の拡充について、二つは、社会問題となっている大学卒業後の奨学金の返済問題への対応について、三つ目、国民健康保険料滞納世帯に対する学資保険の差し押さえ中止についてであります。区として、調査、改善、新たな取り組み等に踏み出すことを求め、見解を伺います。  第二に、生活保護制度についてであります。  国会では生活保護の改悪案が審議中です。改悪案の最大の問題点は、これまで口頭でも可能であった生活保護申請に、書類提出を義務づけたことです。政府は、制度改悪の理由として不正受給の存在を挙げていますが、不正受給は政府の統計でも全体の〇・五%程度であり、保護受給者のほとんどは必要、適正なものです。  生活保護行政は、これまでも多くの問題を指摘されてきました。保護を求めてきた人に申請をさせずに追い返す水際作戦と呼ばれる対応が各地で行われ、餓死や孤立死につながる事例も数多く起こってきました。今回の改悪は種類の不備などを理由に申請をさせない水際作戦を合法化させることにつながりかねません。  国会審議で書類提出に関しては、特別の事情があるときはこの限りではないとの修正をしたといいますが、特別の事情とは窓口が判断するもので、歯どめになっていません。改悪案は人権にかかわる重要な問題であり、我が党は成立阻止のために全力を尽くします。  保護申請手続の改悪について、区長としてどのような見解をお持ちか、見識を伺いたいと思います。  また、八月から生活保護基準の引き下げが実施されます。基準の引き下げによる他制度への影響に対し、区長は影響が出ないよう慎重に対処する旨の答弁を行っております。具体的対策をお聞きします。  第三に、国民健康保険、介護保険制度についてであります。  国民健康保険制度には、法第四十四条に定められた低所得者に対する医療機関の窓口負担の軽減、免除の規定があります。ところが、この制度の区民への周知は極めて不十分です。国保のしおりを見ても、説明はわずか数行で、読んでも自分が該当するかさえわかりません。さらに、区の説明書では、預貯金がある人は対象にならないと書かれています。これは間違いではないでしょうか。国保の窓口負担軽減・免除制度についての説明、制度の周知、改善について見解を求めます。  次に、介護保険の保険料軽減についてです。  介護保険料は第五期事業計画になって大幅な値上がりとなりました。区は、値上がりを抑えるために保険料区分の多段階化を行いましたが、それでも年収八十万以下の保険料第一段階の方々は、年間五千円余りの値上げとなっております。しかし、他区の取り組みを見ると、第五期の保険料決定に当たって、第一段階の保険料率をそれまでの〇・五から〇・四などに引き下げることで値上げの影響を抑える対策を講じています。既に二十三区中十一区で行われています。  保険料率の引き下げについて、区長は三月議会の答弁で次期介護保険事業計画の中で検討すると言いました。しかし、高い保険料は低所得高齢者の生活を日々圧迫しています。次期介護保険事業計画を待たずに、区独自の保険料軽減制度を拡充することで保険料を〇・四相当になるよう引き下げるべきです。見解を伺います。  区長の基本姿勢についての三つ目の質問は、行政改革についてであります。  行政改革は、区民サービスの向上を図ることを目的に、無駄や不要不急の事業の見直し、社会状況の変化に対応した行政運営のあり方の見直しなどの改革を実行することであります。ところが、昨年まで進められてきた熊本区政時代の行政経営改革計画では、区民サービスの削減と負担増、行政の責任を曖昧にする民営化などが次々に行われてきました。一方で、二子玉川再開発事業への莫大な税金投入、都市計画道路の建設スピードの二倍化など、開発経費は大きく膨らみました。  保坂区長は、このような開発優先の区政の転換を公約に掲げ、区民の期待を集めました。しかし、この二年間、二子玉川再開発の補助金削減など、部分的な見直しを行いながらも、基本的にはこれまでの行革計画を踏襲してきました。このことで区民の失望を招いております。  配食サービスなど高齢者福祉の削減、子ども医療費助成の見直しなど、前区政のつくった行政経営改革は根本的に見直すべきです。区長の見解を伺います。  そして、新たな計画をつくる上で、行政改革は何を目的にどのように進めるのか、行革に対する区長の基本姿勢について明らかにしていただきたい。  行革問題の最後に、これまで行ったサービス削減や区民負担増などについて、必要な見直しに取り組むことを求めます。  区は、保育所や学童クラブの保育料改定に際し、低所得者への一定の配慮を取り入れてきました。こうした配慮は評価をしています。しかし、紙おむつ支給の削減には、そもそもこうした配慮がありませんでした。特定健診やがん検診の有料化、値上げが受診率向上の障害となっていることも数字で明らかになっております。これまで行ったサービス削減や値上げについて、改めて見直すことを求め、見解を伺います。  次に、産業・経済対策について伺います。  安倍政権の最大の売りはアベノミクスなる経済政策です。首相は株価上昇を自慢してきましたが、投機とバブルをあおる危険な政策に市場も反応し始めています。実態経済はどうでしょうか。労働者の賃金は、前年同月比でマイナスが続いています。三日に発表された統計では、中小企業の設備投資も二期連続でマイナスです。不況は解消どころか現在進行中です。私たちが接する町の声も、そして世論調査も、数字は読売ですが、景気回復の実感はないとの回答が七六%に及んでいます。  そこで伺いますが、アベノミクスの第一の矢とされた二十兆円の緊急経済対策、区では、昨年度の最終補正で約八億円を計上した元気臨時交付金ですが、いまだに区に入る金額さえ確定していないと聞きました。確実に確保し、景気対策の財源として活用すべきです。元気臨時交付金の現状と今後の見通しについて明らかにしていただきたいと思います。  経済対策の第二の質問は、公契約条例についてであります。  賃上げと雇用による内需の拡大こそ、不況から脱出する一番の鍵です。区が検討を進めている公契約条例は、本来、地域経済にとって前向きの力となります。  さて、公契約条例に期待される役割とは何でしょう。まず、実際の公共工事にかかわる労働者の労働条件、賃金の適正化に結びつくことです。さらに、公共工事や公的サービスの質の向上に資することであり、地域の活性化へと発展させていくことです。これらは区が設置した検討部会の中間まとめにも指摘をされております。  同時に、公契約条例をめぐってはさまざまな法的議論があることも承知しています。検討部会の中間まとめを見ると、これらに配慮する余り、結果として実効性の薄い条例となってしまうことを危惧いたします。  公契約条例は、足立区がこの九月議会での議決を目指して既に条例骨子案が区議会に示されました。そこでは、条例に基づき労働報酬審議会を設置し、地域の労働報酬下限額を定めるとともに、適用する労働者を当該公共工事等で働く全ての労働者とすること、さらに、条例に反する行為に対しても契約時に特約条項を設けて実効性を担保するとしています。大変すっきりした実効性のある条例案となっております。問題は当区でも決断できるかどうかです。区長も我が党の質問に対して実効性のある条例にしたいと答弁しておりますが、区民も期待しています。  検討中の公契約条例が実効性あるものになるかどうかは、区長のリーダーシップと決断によるところが大であります。区長の決意を伺います。  経済対策の第三の質問は、環境配慮型住宅リノベーション事業、省エネリフォーム助成についてであります。  六月一日に行われた事業の技術講習会には百数十名が参加するなど、事業者の関心の高さが示されました。また、区民からの問い合わせも既に百件にも及ぶと伺っています。事業が軌道に乗れば、自然エネルギーへの転換と地域経済の活性化という二つのテーマを同時進行させる大変有効な事業となります。  一方、推進のための課題も見え始めてきました。区内業者の技術力育成、申請手続の簡素化、事業規模の小さな工事の助成や手続の問題などです。エネルギー転換と地域経済の活性化を結びつけた本事業の今後の展望をどのように捉えているのか、また、開始したリフォーム事業の課題と改善点などについて区の認識を伺いたいと思います。  次に、区の保育行政について伺います。  区は、これまで保育の質を守ることを目的に、株式会社の認可保育園の参入を認めてきませんでした。それは、区だけの判断で行ってきたわけではありません。株式会社が経営する認証保育所における補助金不正受給事件からの教訓、区立保育園民営化に当たって保護者の皆さんとの話し合いによって策定された民営化ガイドラインなど、区民や議会との合意によって積み重ねられてきたものであります。  ところが、五月二十八日付の新聞に、認可保育所の企業参入、世田谷区容認へとの見出しで記事が掲載され、保坂区長が従来の方針を見直すことにしたと記されております。この発言が事実とすれば、区と議会、区民とのこれまでの努力と経過を無視するもので、容認できません。この新聞記事は事実なのか、区長の言葉として報道されていますので、区長から事実経過を伺いたい。  区では、小田急ムック事件以来、認証保育所への巡回指導、職員研修など、保育の質の向上のための具体的措置を実施してきました。さらに、必要に応じて施設への運営状況調査や助言なども行ってきました。巡回指導で明らかになった株式会社が運営する認証保育所の現状と課題について、区の認識を伺います。  さて、二〇一五年から始まる新システムでは、自治体は保育所の認可に際し、必要な要件を満たせば、株式会社を含め原則認可しなければならないとされました。新制度下での区内の保育の質を確保していくために、区として独自の基準を定めるなどの対応が必要となっております。区の見解を伺います。  保育問題の最後に、ことしさらに増加した保育待機児解消に向けた対策の見通しについて、区の対応と決意を伺っておきます。  質問の最後に、二子玉川再開発地区の風対策について伺います。  このほど風対策に関する調査検討プロジェクト専門家会議の二十四年度報告書が提出されましたが、一方で二街区の高層ビル建設は計画どおり進んでおり、新たな高層ビルができれば問題は一層深刻になると予想されます。  しかし、既に強風によるけが人まで出している多摩堤通りの横断歩道は、子どもや高齢者などの歩行者を守る緊急で抜本的な対策が必要です。道路を横断するユニバーサルデザインの屋根つきデッキの設置などの対策を進めるべきです。見解を伺います。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 村田議員にお答えします。  憲法九十六条についての御質問、認識はいかにというお話がございました。  憲法九十六条が諸外国と同様に厳格な要件を定めていることに関して、改正にも――これは硬性憲法というふうに言いますが、改正に慎重を期していることで安定性の確保と憲法保障を強化する意義があるものと認識しております。  現在、この憲法九十六条をめぐる問題については、例えば国会で与野党九十六条改正議連というものが多数の議員参加のもとに立ち上がるという動きがある一方で、例えば、私もよく存じ上げておりますが、中山太郎さん、衆議院憲法調査会会長を長く務められましたが、先日の新聞インタビューでは、九十六条、この改正要件の緩和については慎重だという意見を述べていらっしゃいました。  私も九〇年代の自社さ政権の与党の一員だったということもあって、自民党の各派閥を率いたいわば重鎮の政治家のそれぞれの方とかなり時間をかけて、こういった憲法についても、あるいは政治の要諦ということについての統治感覚をいわば意見交換した経験がございます。  今後とも、そうした経験を積んだいわば政治家の意見もしっかり聞きながら、この九十六条というのは憲法の一番基本にかかわるところなので、私は慎重な見方をしているところであります。  もう一つ、区の災害対策についてのお尋ねがありました。  就任直後から大震災を踏まえた、あるいは原発事故を踏まえた災害対策総点検に取り組むとともに、本部機能強化のための非常用発電機の設置や井戸の整備、新たな被害想定を踏まえた世田谷区地域防災計画修正作業などの災害対策の強化を図ってまいりました。各都市との災害時総合応援協定の締結もその一つであります。そして、二十三年八月の区政運営方針でも、災害対策を軸にした課題を整理し、実行に移してきました。  この大規模災害が発生した場合には、行政だけで全ての災害対応を行うことは事実上不可能です。そのために、自助、自分の身は自分で守る、共助、自分たちの町はお互いに支えあって守るという考え方に基づいた行動の日ごろからの実践が重要だと考えます。  また、災害はそれ自体を抑止する、起こさないということは、自然現象ですから、なかなかこれはできません。しかし、ふだんから事前の対策を積み重ねることで被害を最小限に抑える減災の視点を持って取り組むことも忘れてはいけないことと認識しています。  ことし四月からの出張所・まちづくりセンターで地区防災力の強化についても取り組んでいます。また、それぞれの地域での防災塾の開催、住民参加を促していきたいと考えております。  首都直下型地震あるいは南海トラフ等、さまざまな災害のシミュレーションが発表されております。こうした中で、区民の生命、財産を守るために、自助、共助、公助、そして減災の視点を持った地域コミュニティーの確立のために全力で取り組んでまいりたいと思います。  次に、いわゆる格差問題、格差社会という言い方もされますけれども、基本的なスタンスをお尋ねになりました。  生活保護受給者の増加に見られるように、生活困窮者が増加傾向にあることは全国的に大きな課題となっています。非正規雇用の増加や長引く不況などにより、経済格差が固定化し、経済的弱者が将来に対して希望が持てなくなることは深刻な問題であるということを認識しております。  区はこれまでも生活困窮などの問題につきましては、若者や高齢者を中心とした就労支援の強化や相談支援の強化、各種の助成の強化など、対策に取り組んでいるところでございます。今後の区政運営についても、格差が拡大することで生活が厳しくなる家庭、とりわけ子どもの貧困対策ということで、各党の全会一致を見た法律が制定に向かって動いているということも受けとめ、とりわけ子どもの貧困対策、貧困の世代間連鎖を防止していくという政策を進めていきたいと考えております。  実効性のある子どもの貧困対策はというお尋ねでございます。  国民生活基礎調査によると、十七歳以下の子どもの貧困率は、昭和六十年以降上昇が続き、ここ数年は働いても貧困から脱することができない家族の増加が社会問題化して、全国的に大変状況が悪化していると聞いております。本区でも就学援助を受けている児童生徒数は、ここ五年間で五千五百四十人から五千八百四十人と、やはり増加傾向にあり、また、平成二十年度に行ったひとり親家庭への調査からは、育児、教育費が家計を最も圧迫していること、高校進学率においては、全国全世帯平均の九八%に対してひとり親家庭は八九%と低いという結果があらわれています。  このような状況を踏まえ、区では、就学援助を初め、ひとり親家庭への学生ボランティア派遣や学習支援事業など、経済的な問題を抱える家庭の子どもたちへの学習の機会提供を目的に取り組みを進めてきました。ひとり親家庭に限らず、生活に困窮する家庭の子どもたち全てに学習支援が必要だと考えております。  子どもを取り巻く環境の変化を考慮しますと、これまでの学齢期の子どもへの支援に加え、例えば児童養護施設を卒園する若者、十八歳以後自力で暮らしていかなければなりません。こうして生活や就労に不安を抱いている若者たちへの自立支援の課題、さらに貧困の連鎖を防ぐための保護者に対する施策など、幅広い取り組みが急がれるものと認識をしております。  以上です。    〔板垣副区長登壇〕 ◎板垣 副区長 私からは、行政改革の基本姿勢について御答弁申し上げます。  行政改革の基本姿勢につきましては、この間、区長が示されているように、世田谷区の現在と未来をしっかりと支えられる持続可能な財政基盤を確立することが不可欠であるとの観点から、厳しい財政状況のもと、ふだんからの行政経営改革を行う必要があると認識しております。  例えば、現在でも保育サービスの拡充や区民利用施設の計画的改修など、区民サービスの充実が求められております。このためにも、行政内部の経費削減を軸にした施策、事業の見直しを進め、職員人件費の抑制、税外収入の確保、営繕経費のコストダウンなど、行政改革を着実に推進していく必要があると考えております。  今後、基本計画の策定と並行しまして、行政改革の必要性をさらに庁内で共有化を図りながら、新たな自主計画、行政改革計画に反映できるよう、区長の指示のもと、全庁で取り組んでまいります。  以上でございます。    〔秋山副区長登壇〕 ◎秋山 副区長 二〇一五年度からの新制度下における保育の質の確保についてでございます。  平成二十七年度に予定されている子ども・子育て支援新制度においては、多様な運営事業者の参入に伴い、保育の質の確保が今まで以上に重要な課題となると認識しております。保育サービス施設が子どもの健やかな育ちを保障し、保護者への子育て支援となる役割を的確に担うためには、運営事業者と保育の担い手である保育士の専門性の向上が重要となります。  現在、区では独自の取り組みとして、保育士と看護師による巡回指導相談や職員研修を実施し、専門性の向上に努めておりますが、新制度においても、区としての指導体制や人材育成の取り組みをさらに強化してまいります。  現在、多様な運営事業者の参入を前提として保育の質を確保していくために、事業者が参入する際の基準のあり方などについて検討を開始したところでございます。  以上でございます。 ◎阿部 危機管理室長 私からは、区の減災を中心とした防災対策について御答弁申し上げます。  大規模災害が発生した場合に被害を全く出さないことは不可能ですが、日ごろから震災に備えることで被害を一定程度減らすことができると認識してございます。  区では、ことしの三月に改定しました世田谷区地域防災計画におきまして、新たな被害想定を踏まえた減災目標として、死者を六割、避難者を四割、建物被害数を六割、平成三十二年度までに削減することを定めております。目標を実現するためには、建物の耐震化や不燃化、家具類の転倒防止対策など、関係所管と連携して推進をする必要があります。また、減災に当たっては、行政だけではなく、区民や事業者における自助、共助の取り組みを推進していくことが重要であると認識してございます。  今後、地域防災計画に従って、建物の耐震促進や区民や事業所の火災対応力の強化などにつきまして、関係所管並びに防災関係機関と連携して、減災に向けて取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎佐藤 都市整備部長 私からは、二点についてお答えいたします。  まず、耐震化の促進等についてです。  東日本大震災や首都直下型地震の切迫性の中で、災害に強いまちづくりを推進する観点から、区ではこれまで耐震相談や耐震診断を初め、改修工事助成等、さまざまな取り組みをしてきておりますが、最近の木造住宅の耐震改修実績等は、震災前と比較して急増してきております。  また、耐震化等強化策としまして、今年度から木密地域での不燃建てかえなどの支援策も開始し、このたび、国において住宅の耐震化の緊急支援として、一住戸につき三十万円上乗せして助成する支援策が盛り込まれました。区ではこの支援策を活用するため、今回の第一次補正予算に必要額を計上させていただいております。  今後とも地元金融機関との連携を進めるとともに、新たに作成した啓発用リーフレットを活用しながら、住宅の耐震化、不燃化を一層促進してまいります。  次に、省エネ・耐震住宅助成事業の今後の展開、課題等についてでございます。  住宅都市世田谷においては、地球温暖化の抑制に向けた住宅分野における取り組みが重要なことから、この四月から住宅の断熱化や再生可能エネルギーの利用、省エネルギー設備を導入した住宅改修をケアするため、環境配慮型住宅リノベーション事業の補助事業をスタートいたしました。  この間、普及啓発の取り組みとしまして、地元金融機関との協定締結や断熱工事の種類や方法、施工の留意点等について技術講習会を開催しているところであります。今年度三回実施を予定しておりますが、さらに内容の充実、工夫に努め、事業者の技術力の向上を図ってまいります。  区といたしましては、今後とも区民と事業者への一層の周知に努め、区内事業者との連携協力により、地域経済の活性化と住宅の省エネ化、創エネ化に一層取り組んでまいります。  以上です。 ◎古閑 教育次長 就学援助と学習支援の拡充についてお尋ねがございました。学習支援につきましては、区長より御答弁申し上げましたので、就学援助について申し上げます。  世田谷区の就学援助の受給状況、認定率につきましては、小学生の家庭で一割程度、中学生の家庭で二割程度で推移しております。こうした状況を踏まえ、教育委員会といたしましては、厳しい状況の中ではございますが、平成十七年度より現行水準でございます生活保護の一・二倍の認定基準を維持してきており、二十三区中、世田谷区を含めまして十六区が同水準という状況でございます。  現在、国会では子どもの貧困対策法の審議が行われておりますので、今後とも国の動向や経済状況の変化、受給状況の動向等を把握しながら慎重に対応してまいります。  以上です。
    ◎岡田 子ども部長 私からは、四点御答弁申し上げます。  まず、社会問題となっている大学卒業後の奨学金の返済問題についてということについて御答弁差し上げます。  現在、区では義務教育終了後の進学の支援として、高校進学のために無利子の資金貸し付けを行っております。利用状況は、高校授業料の無償化の実施に伴い年々減少しており、返済につきましても、卒業後十六年以内と無理のない返済計画を立てていただき、返済における相談にも丁寧な対応を心がけております。  一方、大学進学に際しての奨学金制度は、主に日本学生支援機構などが運営しておりますが、四年間の借り入れ総額が多額であり、卒業後の返済の開始に当たっても、昨今の若者の置かれている雇用情勢の厳しさなどから返済負担が大きいなど、実情については新聞報道などから承知しているところでございます。  次に、保育待機児対策でございますが、解消に向けた対策と見通しについて御答弁申し上げます。  区では、現在、単年度としては過去最高の千五百五十人の定員拡大を目標に掲げ、保育施設整備の取り組みを進めているところです。この結果、平成二十六年度までの子ども計画後期計画の目標事業量を二十五年度中に一年前倒しで整備することになりますが、計画策定時の予想を上回って保育需要が高まっており、保育待機児解消に向けた対策を見直し、来年度は目標量を引き上げ、設定することとして検討を進めてございます。  さらに、平成二十七年度以降の次期子ども計画につきましては、国の子ども・子育て支援新制度に基づく市町村事業計画として策定することになりますが、現在、国の子ども・子育て会議においてニーズ調査の方法について議論がされていると伺っております。  区といたしましては、新たに設置する世田谷区地域保健福祉審議会の子ども・子育て部会の御意見もいただきながら、適切な調査を実施できるよう準備を進め、区民ニーズを的確に捉えた上で計画策定に臨みたいと考えているところでございます。  次に、巡回指導で明らかになった認証保育所の現状と課題についてという御質問に対してお答えいたします。  区は現在十一名の職員を巡回指導相談担当として保育課に配置してございます。区内保育施設に対する保育内容や衛生管理等の相談、助言を実施しております。今年度も区内認証保育所五十二施設を年間三回から五回訪問する予定となってございます。  この巡回指導相談では、子どもへの言葉がけ、うつ伏せ寝の危険性など、保育の基本や子どもの危機管理についてのアドバイスも数多く行っております。認証保育所がこうしたアドバイスを受けとめ、子どもたちのために最善の保育を提供していただけるよう改善に取り組んでいるところです。  また、認証保育所は認可保育所と比べ保育士資格を有しない非常勤や派遣職員の割合が多い傾向がございます。その結果、施設によっては職員の入れかわりが激しく、保育に関する専門知識や経験を積み重ねることができないケースもあり、課題と認識してございます。  区は、新制度においては多様な設置運営主体が想定されていることから、認証保育所への指導の実績などを踏まえ、指導基準の明確化等を検討するなど、今後とも全ての子どもの最善の利益のため、保育の質の確保に努めてまいります。  最後に、五月二十七日の定例会見の報道につきまして、朝日、東京と日経夕刊の内容の違いについて御質問がございました。お答えいたします。  国からは、今般、認可保育園の設置運営主体につきまして、二十七年度からの子ども・子育て支援新制度を見据え、本年五月十五日に株式会社を含めて積極的な運営を行うことを趣旨とする通知が届いてございます。これに関しまして、区として厚生労働省に赴き、施設整備費補助の仕組みなどにつきまして意見交換を行い、国の考え方を確認させていただきました。  こうしたことを踏まえ、五月二十七日の定例記者会見では、区長が株式参入のあり方について検討することを表明したものでございます。したがいまして、区としては、株式参入の検討を行うというのが正確な事実関係であると認識しております。  以上でございます。 ◎金澤 保健福祉部長 私からは、二点御答弁申し上げます。  まず、国民健康保険料滞納世帯に対する学資保険の差し押さえについてです。  学資保険を含む生命保険は、法的に差し押さえ禁止財産となっていないことから、区では差し押さえの対象としておりますが、差し押さえに当たっては事前に通知を行っており、御相談により、分割納付を含め自主納付をしていただくことで実施しない場合もございます。また、差し押さえ後も直ちに解約しておりませんので、御相談があれば、御事情を踏まえて個別に判断するなど、丁寧に対応してきているところです。  保険料は、国民健康保険制度を支える大切な財源であり、今後とも被保険者間の負担の公平性を確保する視点から徴税努力を続けてまいりますので、何とぞ御理解をいただきたいと考えております。  次に、国民健康保険の窓口負担軽減、減免制度の周知、改善について御答弁申し上げます。  国民健康保険法では、災害や特別な事情により、収入が著しく減少したことで、保険医療機関等への医療費一部負担金の支払いが困難になった場合、申請により徴収猶予や減免を受けることができる制度がございます。本制度の御案内については、毎年国民健康保険に加入している全世帯にお送りしている国保のしおりに掲載するとともに、二十五年三月からは区のホームページにも掲載しており、引き続き周知に努めてまいります。  また、本制度を区民にわかりやすく紹介し、正確に御理解いただけるよう、御指摘の点も踏まえ、記載内容については見直しを検討してまいります。  以上でございます。 ◎板谷 地域福祉部長 私からは、二点お答えをいたします。  初めに、生活保護申請手続についてです。  国は、今回の生活保護法の改正に当たり、本人の資産や収入状況、親族の扶養関係などを書面で申請するよう法案調整を進めてきたところですが、特別な事情があるときはこの限りではないとの条文を加え、申請書を提出できない事情がある場合には、口頭での申請も認めるなどの例外規定を設けたとの報道がございました。  申し上げるまでもなく、生活保護制度は憲法二十五条の理念に基づく国の社会保障制度の最後のセーフティーネットであり、いついかなる状況にあっても、この制度を真に必要としている方が安心して利用できる環境を維持していくことは重要であると考えており、今後とも国の動向なども注意深く見守ってまいりたいと考えております。  次に、介護保険の保険料軽減についてお答えをいたします。  二十四年度からの三カ年の第五期の介護保険料設定に当たりましては、保険料段階のさらなる多段階化と一定所得以上の方の保険料率の見直し等により、比較的所得の少ない方の保険料上昇の抑制に努めてきたところでございます。  さらに、低所得の方への配慮として、所得に応じた保険料段階の設定を行った上で、所得や資産が一定基準以下等の要件に該当する場合は、区で独自に保険料を減額する制度を実施しております。昨年八月に成立した社会保障制度改革推進法にも、低所得者の保険料軽減について明記されており、現在、国の社会保障制度改革国民会議において検討が進められております。具体的な対策がどう示されるのか、今後の動向を注視しているところでございます。  保険料の軽減策につきましては、今後、第六期介護保険事業計画を策定する中で、国の新たな制度設計を踏まえるとともに、地域保健福祉審議会において、区民委員や学識経験者等から広く御意見をいただきながら、区としての考えを整理してまいります。  以上でございます。 ◎宮崎 政策経営部長 私からは、三点についてお答え申し上げます。  最初に、生活保護基準引き下げに伴います他制度への影響と対策についてです。  生活保護基準の引き下げにつきましては、二十五年五月に生活保護法による保護の基準が改正されたことによりまして、八月から段階的に見直しが実施されることとなりました。基準の見直しによります区制度への影響でございますが、生活保護の対象世帯でなくなることによりまして、これまで非課税世帯であった世帯の経済的な自己負担が増加することや、就学援助や国民健康保険料の減免といった生活保護の基準を参照に実施している施策への影響が考えられます。  国におきましては、既に通知が参っておりまして、平成二十五年五月の中旬に厚労省の事務次官を初めとして総務省など、そちらのほうで通知が来ておりまして、他の制度への影響はできるだけ及ぼさない方針を示されておりますけれども、住民税の非課税限度額につきましては、二十六年度以降の税制改正の議論を踏まえて検討していくこととされていることなど、現時点では不明確な部分も多くございます。  今後、区の事業にかかわる影響につきまして、至急全庁調査を実施いたしまして、影響度を見きわめた上で、区議会とも御相談を申し上げながら対応してまいりたいと考えております。  次に、行政改革のあり方について御答弁申し上げます。  先ほど板垣副区長から申し上げましたが、この間の行政改革につきましては、区民生活への影響を十分に留意し、内部経費の削減を中心に進めているところでございます。今後とも保育サービスや公共施設の更新を初めとする行政需要が急激に伸びていくことを考えますと、決して財政状況が好転していく見通しを立てることは厳しいと認識しておりまして、行政サービスの安定性、継続性も視野に入れて、聖域を設けることなく見直しを進めていくことが必要であると考えております。  本年七月からは現行の行政経営改革計画に基づきまして、区民利用施設の使用料や保育料等の改定を実施させていただきますが、低所得者層の負担にも配慮し、急激な料金の改定にならないようきめ細かな金額の設定に努めたところです。引き続き、区民サービスの維持向上の視点を持ちながら、行政改革を続けてまいります。  続きまして、元気臨時交付金の現状と今後の見通しについてお答え申し上げます。  地域の元気臨時交付金につきましては、国の緊急経済対策におきまして、各地方公共団体の追加公共投資が迅速かつ円滑に実施されるように臨時に創設された補助金でございます。区は、平成二十四年度最終補正予算におきまして、区内産業の活性化と雇用の安定化を図るため、この国の緊急経済対策と連動した前倒し可能な事業について、地域の元気臨時交付金を特定財源とさせていただいたところでございます。  この前倒し事業の総事業費約二十億円でございまして、このほか区独自の経済対策としての前倒し事業、約三億七千五百万円程度になりますけれども、これらを合わせまして区の経済対策は約二十四億円の規模となっております。  本交付金は今後、具体的な使途に関します計画を国に提出いたしまして審査を経ていくことになりますが、区といたしましては、この交付金の趣旨を十分踏まえて対応してまいりたいと考えております。  以上でございます。 ◎金澤 財務部長 公契約条例について御答弁申し上げます。  公契約条例とは、御質問でも御紹介されたとおり、自治体の契約における請負工事などにおいて、労働者の賃金を一定額以上にすることがその主な目的であり、条例制定の目的は、適正な労働環境を確保しようとするものでございます。  お話のありました本年二月に出された公契約のあり方検討会中間報告におきましては、入札制度改革を進めるに当たり、公契約の基本原則や基本価値といったものをつくり、統一的な視点で制度改革を考えていくことは重要であり、こうした意味から、公契約条例をつくることには意義があるとの意見をいただいております。  しかし、あわせて公契約による労働条件や基準の義務づけと憲法や最低賃金法、労働基準法、地方自治法などの法律との問題が解決されていない状況にあることから、仮に公契約条例をつくる場合には、何を規定するか、その内容については慎重な判断が必要であるとの報告が出されており、区といたしましても、さまざまな法的課題があるものと認識しております。  実効性ある条例をという御提案をいただきましたが、八月末には検討委員会での最終報告が出される予定であり、それを受けて、引き続き、条例制定を視野に入れた検討を重ねてまいります。  以上です。 ◎霜村 生活拠点整備担当部長 二子玉川東地区の風環境についてお答えいたします。  風対策につきましては、本年一月より風工学の専門家による会議を設置いたしまして、調査検討を進めていただいております。現段階でのまとめによりますと、現地で既に実施されている風対策について、個々には効果があるとの評価が示されておりますが、さらなる補強、追加の余地もあるとのことでございます。  新たな追加対策につきましては、お話にございました屋根つきデッキ等、さまざまな手法が例示されております。今後、現地の風の観測を継続いたしまして、そのデータ分析に基づいた対策を御提案いただく予定でございます。専門家会議からの御提案を今後の事業者との協議、要請に生かしてまいります。  以上です。 ◆四十四番(村田義則 議員) 公契約条例については腰砕けにならないように区長の決意を、リーダーシップを期待したいと思います。  それから、行革計画ですけれども、今後、新たな実施計画、行政経営改革に取り組むと、区長の指示のもとに取り組んでいくという答弁がございましたが、区長の考える行革計画は熊本区長の行革計画とどう違うのか、区長の考えを伺いたいと思います。    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 再質問にお答えします。  行財政改革について、とりわけ私が就任して以降、熊本区長の時代、リーマンショック以後の財政事情は極めて厳しいということから、各方面にわたってその資質のあり方、事業の可否、継続をするか否かについて検討が加えられたものと思います。  私と熊本区長時代の行政改革の考え方にもし差があるとすれば、これは外部委託する、アウトソーシングするという、これは官から民へということですばらしいことだというふうに言われてきましたけれども、必ずしもそうだとは言えない。例えば、本来は所管公務員がしっかりなすべきことをいわば外注をするということで、これは本当に効率化に値するものなのかどうか、こういう点。あるいは営繕、大変多くの費用を要しています。この営繕手法についてさまざまな工夫ができるんではないだろうかということについての、これは現在も進めておりますけれども、検討を持続していること。さらには、電算、これについては、国会で各省庁の電算システムについての資料等を精査した経験から、さまざま見えない部分があるのではないかということで、電算経費についての圧縮や抜本的な改革を指示してきました。  区民の立場に立って、納税者の視点に立って合理的かつ適正な行財政改革を進めていきたいというふうに考えております。 ◆四十四番(村田義則 議員) そうすると、現在の計画にある子どもの医療費助成の見直し、あるいは高齢者福祉の削減の項目は今後どうするんですか、伺います。    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 これは大変大きな問題ですので、区議会の皆さんの御意見を初め、全庁的にしっかり議論をして、判断してまいりたいと思います。 ○山口ひろひさ 議長 以上で村田義則議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○山口ひろひさ 議長 次に、世田谷民主党を代表して、三十五番中村公太朗議員。    〔三十五番中村公太朗議員登壇〕(拍手) ◆三十五番(中村公太朗 議員) 本日ラストバッターでございます。最後までおつき合いくださいますようによろしくお願いいたします。  通告に基づきまして質問をしてまいります。  いよいよ佳境に入ってきた基本構想の編成作業ですが、区民の声を聞く区長として、無作為抽出の区民が参加をするワールドカフェといった手法を用いるなど、区政への区民参加を進めるための新たな取り組みとその先頭に立ってきた区長の姿勢は評価をしているところです。  とはいえ、これだけ手の込んだステップを踏まえた割に、できあがった案は総花的であり、特徴的なテーマが見当たらないという印象も受けております。もちろん基本構想という性格上、区の数ある政策の中で、一番大もとかつ一番指針的なものであり、一定程度の緩やかさやアバウトさを含んで、ディテールはそのほかの基本計画や実施計画、さらには要綱などで定めていくことは重々理解をしていますが、それを考慮に入れたとしても、せっかくの手法から導き出されたものとしては、少々物足りなさを感じます。  九つのビジョンの中のどこで特に世田谷らしさを打ち出すのか、どこを政策として重点化しようとしているのか、区長の優先度も明確ではありません。この先二十年の世田谷区政において、このあたりが区民にわかりやすく伝わるようなつくりに変えていくべきと考えますが、いかがでしょうか。  さらに、新たな二十年を見据えた基本構想の策定に当たり、過去からの取り組みの結果として世田谷の今があるという状況を踏まえ、現状をもたらしたこれまでの基本構想の総括、分析、反省、対策を抜きにして将来に向けた課題解決や区が目指す構想を実現していくことはできないと考えます。  例えば長きにわたって解決をしない保育待機児童の問題やみどり33を掲げながら減り続ける緑の問題など、過去をしっかりと総括しなければ、また二十年間、現状を追っかけるだけの対症療法を続けるといった状況に陥りかねません。もちろん保育や緑の諸課題は、基本構想審議会の部会資料にも示され、指摘されているところでありますが、このたびの基本構想案には、これまでの分析を行い、次に生かそうという視点が欠けているように感じます。終盤に入った諸調整に向けてどのように考えているのか伺います。  次に、妊婦健診の交付税化とこうした流れに伴う区の対応について伺います。  補正予算案が提示をされ、これまで一部を国の基金で賄われていた妊婦健診が全額地方交付税化されることになり、国からの収入を減額補正するという報告がなされました。世田谷区は地方交付税の非交付団体ですから、つまり妊婦健診にかかる費用は全額区の持ち出しになったということです。これまで妊婦健診の受診は、第一回目から五回目までが区、六回目から十四回目までが区と国の折半で賄われていましたが、今回の新政権の決定で区の全額負担になり、区が受ける影響額は約一億五千万円になります。  もちろん妊婦健診は何があっても守らなければいけない大事な福祉制度であり、受診者に負担がふえることだけは避けなければいけません。区としては、新政権の理不尽な決定で支出がふえることになろうとも、未来をつなぐ大事な妊婦さんに、これまで同様負担をかけることなく、受診者負担ゼロの実施をしっかりと続けるのか、まずは確認をします。  その上で、今回の影響で区の持ち出しが一億五千万ふえるということは、イコール区のほかのサービスにかけられる予算が一億五千万減ることになるわけで、ことし一月に急遽方針転換がなされたこの政策は、特別区である世田谷にとってはマイナスとしかならないものであります。特に福祉にかかわる部分は全国一律で実施をされるべきで、当然かかる費用も自治体によって負担が変わってくるような事態は避けるべく、国の予算で実施されるべきであり、中でもこれからの日本を背負う子どもたちを生みやすく、育てやすい環境にするための一番大事な根幹のところでの理不尽な政策転換は、区として声を上げていかなければいけない重要なテーマであります。  こうした一連の決定に対して、区は意見書や要望もしくはクレームなど、新政権に対してちゃんとアクションを起こしているのか、その対応を伺います。  次に、区内人材の有効活用について伺います。  区職員の再任用がスタートし、天下りという不透明な形をとらない経験と知識の有効活用が始まりました。退職の時期を迎えてもなお現役で何かをなせる方はどんどんふえています。この世田谷区内には大企業の役員経験者や世界の一線で戦ってきた企業マン、特殊技術を習得している技術者や各界で活躍をしてきた有識者などが大量退職の時代を受けて、他の自治体よりも多くその経験と知識を眠らせていると認識をしています。  区内に眠るこれだけの財産を活用しないのは、まさにもったいないの一言です。これまでの人生を今後は区に還元したいとの思いを持っていただいている方も多いと聞きますし、こうした人材の活用方法及び場の確保は区の取り組むべきテーマなのではないかと考えます。  例えば、現在起業しようと考えて産業振興公社に行けば、中小企業診断士が相談に乗ってくれるわけですが、相談者としてみれば、もちろん資格を持っている中小企業診断士の方に安心をして相談に乗ってもらうことも求めるのと同時に、大きな経験と実績をお持ちの人生の先輩からアドバイスをもらう機会もあれば、ぜひ欲しいと答えるはずです。区が予算を出してそういった人材を抱えることはできないでしょうから、需要とノウハウをマッチングするような人材バンク登録のような枠組みのプラットホームを区が用意するのはどうでしょうか。  具体的には、ウエブ上に人材バンク的な環境を整備して、個人や団体が講師やアドバイザー、時には事業パートナーなどを探そうとしてアクセスをすれば、区内の自薦、他薦で登録されたさまざまな経歴をお持ちの区内人材から選択することができ、連絡先から直接アプローチをして依頼ができるような仕組みがあればいいのではないかと考えています。  区としてかかわるのは、人材のストックとその集約、その情報提供であります。どういった分野の何を求めているか、無償なのか、有償なのかなどは当事者同士で決めてもらえばいいわけですし、もしかしたらそれがきっかけで雇用にもつながるかもしれません。人材豊富な世田谷のことですから、選べる分野もきっと多岐にわたって充実をするはずです。もちろん区がかかわるので、トラブル防止として、経歴や資格などの情報にうそがないか等のチェック作業は必要だと思いますが、それ以外は基本的に当事者同士で進んでいく形になり、人材交流と人材活用の土台として有効な一手ではないかと考えますが、いかがでしょうか。  また、ほかにも区として区内人材の活用をどのように考え、検討がなされているか、具体的に何かがあればあわせて伺います。  いよいよ区長肝いりの世田谷区子どもの人権擁護機関せたがやホッと子どもサポートが七月から実働することになります。通称「せたホッと」ということになるようですが、制度の中身はもちろんのこと、区内誰が聞いても認識できるような周知、宣伝に力を注がなければいけません。  生徒児童と学校や教育サイド以外の第三者がかかわってくるこの制度には、教育及び家庭環境の従来のあり方を尊重し、警鐘を鳴らす音も聞こえますが、スクールカウンセラーだけでの対応といった学校内で全てが完結してしまう閉鎖性のデメリットに新しいメスを入れる可能性や、子どもテレフォンといった顔の見えないやりとりから、具体的な解決に向けての発展を想定した場合、会派として期待するところは大きいと判断をしています。  もちろんこれまで問題解決に一定の役割を果たしてきた既存の制度と補完をし合い、相乗効果を生むような連携が求められます。また、新制度の事務局が子ども部で、実際の相談者が教育所管に入ることから、行政側としてあらゆるシーンを想定し、横の連携をパーフェクトにできるような最終準備が必要でありますので、今現在どのように準備が進捗しているのか伺います。  相談件数、調査案件数、委員の提言、これらがどの程度実施されるかなど、始まってみないとわからない点は多々ありますが、とにかく機能を最大限フル活用し、世田谷教育を取り巻く課題解決に貢献をしてほしいと切に願っています。  一点気になるのは、教育現場サイドの協力体制の問題であります。条例改正で区の所掌範囲である区立小中学校はこの制度に従わなければいけないことになりますが、その他の学校はあくまで努力義務という規定にしかなりません。かねてから世田谷の教育機関を取り巻く環境で、補助金というつながりの強い私立幼稚園以外の私立小学校、中学校、高校、大学、または都立、国立の各学校と区との距離は意外に遠く、もっと連携強化をしなければいけない課題だと認識をしてきました。  もちろん双方の考えのもとでの現在の距離感なんだと思いますが、区としてあらゆるシーンでもっと積極的に声をかけたり、歩み寄っていくべきだと感じています。世田谷で育つ多くの子どもが区立校以外に通っている大前提から目を背けることなく、地域が地域がと聞き古した声を上げ続けて区立一辺倒の教育概念にとらわれるのではなく、オール世田谷の教育的視野と取り組みを進めるべきであり、連携に向けた努力をするべきであります。  世田谷に住んで学校に通う子ども全ての利にかなうよう、せたホッとの私立校などとの連携を一つの契機と捉えて、私立校、その他の関係強化の足場とすることも戦略の一手ではないかと考えます。少なくとも区立校以外で実際に子どもサポート委員が介入するケースが起きてから、慌てて相手校に制度の説明を始めるなどといった環境整備に乗り出すことが絶対にないよう、制度の理解と協力に向けた区立校以外の教育現場へのアプローチはどのように考えているのか、今後の具体的な流れを伺います。  次に、小中学校の海外派遣と姉妹都市の今後について質問します。  これまで長きにわたって会派として二つの視点で声を上げてきた重要課題が国際交流です。今回の代表質問でも触れなければいけないということは、遅々として進んでいないあかしであります。区においては、改めて強い問題意識を持ち、対応を図ることをまずもって要求します。  一つは、小中学生の海外派遣であり、多感な時期に家族との海外旅行ではないグローバルな経験を積むことは、個人の成長にとって非常に有効であり、ひいては世田谷発の人材育成に大きく貢献するのは間違いありません。
     現状は、区内六十四の小学校からバンバリー、ウィーンにそれぞれ十六名、合計毎年三十二名の小学生が派遣されているわけですから、一つの小学校では二年に一人という派遣枠になっています。さらに、男女のバランスを考慮した募集になっており、二年に一度の募集ごとに男子生徒と女子生徒が交互に派遣をされる仕組みになっています。つまり一つの小学校から男女それぞれで考えると、四年に一度しかチャンスがないのが海外派遣の実情であります。  区は、姉妹都市提携をしている三都市の相手方の都合を理由に挙げて、約二十年間もの間、派遣定員数の増加に結果を残せていません。何回も指摘をしていますが、現在の三都市の受け入れ増加が仮に停滞をするようなら、姉妹都市自体をふやしたり、もしくはその枠組みにこだわることなく、それ以外の国、都市との間においても、派遣定員数拡大に向けた協議をすればいいのです。派遣数増加に向けて、今幾つの方向に取り組みが進んでいて、それぞれがどのような進捗にあるのか、前向きな話だけお答えください。  また、この海外派遣の大きな意義の一つに、これまでの殻を破り、自分で世界を切り開いていくことがあると思っています。つまりこれまでの日常出会った家族、友人といった枠から一歩踏み出して、チャレンジをして成長につなげていくことであります。そういった意味で、ホームステイこそが海外派遣の最大の意義であると言っても過言ではありません。ホストファミリーになかなか通じない言語を駆使してコミュニケーションを図る中で、いろんなことを考え、それを表現し、今までにない自分を発見することができるからです。  現在、ウィーン市ではホームステイの実施がなされておりませんが、実施実現に向けたここ数年間の取り組みと成果をお答えください。  二つ目の重要な視点が、東日本大震災以降特に意識されている災害時の相互援助という観点であります。  区としても国内百キロ圏内の五都市と協力体制を提携しようと取り組んでいるところですが、さらなる大規模な災害が発生した場合は、その協力体制の相手方は国外に求めなければいけません。国という大規模な枠組みで集約する震災時のあらゆる対応よりも、友好都市間でのピンポイントの支援が、スピード、量、質において効果的だということは明らかになりました。さらに、一番重要な発生後、数時間の初動を考えれば、アジア近隣諸国こそが頼りになり、頼りにされる相手なのだと以前から指摘をしてきました。議会としても超党派でアジアとの連携強化を模索する動きが始まりました。行政においては、議会の状況を見守ったり、その進捗を待つのではなく、同等以上の問題意識で、いざというときの世田谷区民にとってどんな準備が必要なのかをしっかりと考えて進めていかなければいけません。  平時に姉妹都市をふやす努力を進め、また、災害時相互援助協定だけでも先行して複数国と提携するなど、積極的なアプローチが必要と考えますが、現状はどうなっているのか伺います。  最後に、区庁舎の建てかえ問題について申し上げます。  首都直下の可能性を議論するまでもなく、区庁舎老朽化は、働く職員の人命を安全に守るという点で大きな課題だという認識は多くの方が持っていると思います。以前あった特別委員会でまとめを練り上げるまで話が進んでいながら、リーマンショック以降は経済的な理由から余り俎上にのらなくなり、担当部署も縮小されてきたような感があるこの問題でありますが、時間はひとしく進み、その分老朽化も着々と進んでいます。  確かに大きな予算を伴う決断ですから、いろいろな声があったのは事実ですが、震災以降は区内でも建てかえへの理解を示す声が広がっていると実感しています。また、バリアフリーの観点からも期待する御意見が上がっています。五月からまた特別委員会でも議論が復活したわけですし、この区庁舎の問題は議論を加速させていくべき一つの大きなタイミングなのではないかと考えます。  会派としては、もちろん現庁舎の歴史的価値を一部に残すような形も考慮に入れつつ、積極的に議論を進めて速やかに結論を出し、区庁舎の建てかえに歩を進めるべきと考えますが、区はこの問題に対してどのように考えているのでしょうか、伺います。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)    〔保坂区長登壇〕 ◎保坂 区長 中村議員にお答えします。  基本構想について、現在の、今の基本構想の総括についてお触れになりました。  新たな基本構想の策定に向けて、一昨年から始まった基本構想審議会での議論と並行し、庁内において現行の基本構想及び基本計画の総括を行いながら、審議会における議論の素材として提供してきました。基本構想については、現基本構想の基本理念、将来像及び実現の方策について、基本構想策定後に展開した政策の実績等を踏まえ、成果や課題を整理してきました。  今回の基本構想のやや総花的ではないかという感想を持ったという点でございますけれども、前文を読んでいただいて、なおかつ、これが今後二十年間の公共的な指針であるということをうたい、かつての成長モデルを前提とした社会から、少子・高齢化傾向、そして地域コミュニティーのつながりが希薄化している現状を正面から見据えて、一人一人の人格の尊重をしっかり確保した上で、一方で地域における公的な役割を、つまり相互扶助、そういった参加を促す内容となっています。  また、高齢者から若い世代、あるいは子どもたちまで多世代共生、あるいは地域に根差した教育をもって、一つながりの子育て・子育ち支援ともつなげていくという内容もございます。  災害対策が東日本大震災以後、大きな柱であることから、小学校を地域の拠点としての災害対策への備えを日常から行っていくことや、環境についての一般的な環境論ではなくて、エネルギーの転換、また就労、働き方については職住接近の暮らし方の提案、ソーシャルビジネスや、あるいは区内に存在する大学やNPOとの連携、芸術文化、スポーツの発信や歩いて楽しいまちづくり、また最後に、区民参加の保障などが書かれております。  一年半にわたって大変熱心に議論が行われました。二十五人の委員の皆さんに大変敬意を表する次第であります。また、三つに分かれた部会も、それぞれ活発な議論が繰り返されて、最終的にことしに入ってこの案文にまとまったものということで受けとめて、私としてはこれを区の素案としてまずは御議論いただきたいというふうにしているものであります。  そういう意味で、これからの区民からの議論、あるいは議会での議論を含めて、この秋に向けた策定に向かっていきたいというふうに思います。  以上です。 ◎田中 基本構想・政策研究担当部長 私からは、基本構想について施策の優先順位が明確にわかるようにせよという点に御答弁いたします。  今、一部区長からも御答弁申し上げましたが、今回の基本構想素案は、三・一一東日本大震災と原子力発電所の事故、また少子・高齢化の進展による人口構成や家族形態の変化などを踏まえ、防災、減災や環境・エネルギーへの取り組み、地域社会のあり方などが大きなテーマとなりました。  また、水と緑豊かな住環境、多様性を尊重する文化、区民参加の取り組みの積み重ねなど、世田谷区が培ってきた財産を守り育てることを基本としながら、課題解決に向けて区民が主体的に地域の担い手となり、住民自治の確立を目指すことを打ち出しており、その目標や理念を九つのビジョンとしてまとめております。  このビジョンについて審議会でも優先順位をつけるべきという御意見もございましたが、世田谷区の目指すべき姿を示した九つのビジョンは、どれも区民の生活に密接なかかわりを持つものであり、その一つ一つが対等な価値を持つとし、順位をつける表記にはされませんでした。区の素案もその考えを踏まえております。  今後、行政計画として基本計画等を策定していく中で、具体的な施策の順位などについて検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。 ◎成田 世田谷保健所長 私からは、今後の妊婦健康診査についてお答え申し上げます。  近年、健康管理が重要とされる妊婦の増加や経済的理由などにより、健康診査を受診しない妊婦も見られることから、母体や胎児の健康確保を図る上で、妊婦健康診査の重要性、必要性が一層高まっていると認識しております。  お話しのように、これまでの国庫補助が地方交付税化されることにより、区の財政負担は大きくなりますが、妊婦の健康管理の充実及び経済的負担の軽減を図るため、引き続き妊婦健康診査の公費負担を実施し、安心して妊娠、出産できる体制を確保してまいりたいと考えております。  以上でございます。 ◎宮崎 政策経営部長 私からは、ただいま保健所長から申し上げました妊婦健診の財源の関係と、あといわゆる地域の人という財産の活用というテーマでの御質問をいただきました。その二点についてお答え申し上げます。  最初に、妊婦健診の財源措置の件でございますけれども、この健診につきまして、本年四月から子宮頸がん等のワクチン接種とともに、従来の国の基金による補助が廃止されまして、地方交付税措置とされたところであります。お話がございました全国の自治体で統一的に実施すべきサービスが地方交付税化されることは、地方交付税の不交付団体であります区にとりましては大きな財政負担につながることになります。  区では、こうした国の統一的な施策に基づく新たな事業に係る経費につきましては、国の責任において直接的な補助金として措置すべきであり、さらには地方への税源移譲によって適切に財源保障が行われる必要があると考えております。  今般、地方交付税措置とされた経費でございますけれども、この後、都区財政調整の算定上の課題になると想定されますけれども、財調上の仕組み上、御案内のとおり、総枠が限られていることから、十分な財源を確保することは困難となる可能性も含んでおります。引き続き、さまざまな機会を捉えまして、国から地方への財源、そして権限を移譲する地方分権改革をしっかり進めるよう、国、都に強く要望してまいりたいと考えております。  次に、人という財産の地域との捉え方ですけれども、お話がいろいろございました。このマッチング事業を実施するために、地域人材の意欲と区民の需要とを仲介するための場が必要ということはそのとおりでございますけれども、その際の運営ということでは、地域人材の能力確認の方法、区民の需要に適切に対応する方策等、検討課題も多々ございます。  最近では、特に起業支援や雇用等の分野におきまして、民間事業者が担い手となるマッチングの場も多く持っておりまして、企業、NPOなどの多くの民間団体が既に活動を行っているケースもございます。お話にもございました、区のほうではそういうことをセットすることは難しいんじゃないかということもお話の中に含まれておりましたが、このような御提案のような総合的なプラットホームの整備に関しましては、行政が直接整備したほうがいいのか、NPO等民間事業者への支援を行っていくべきなのかについて、既存の活動団体の実態を把握させていただきたく、この間、この就労関係という面では、産業政策部が雇用対策等を進めてきております。こういうところ等も含めまして、御提案につきまして検討させていただければと存じます。  さらに、地域の方々の一線を退いた方々のことにもお触れになりましたので、一言申し上げます。  今般のこのお話につきまして、決して就労ということだけではないと思っています。地域にお住まいの第一線を退いた方々がお持ちになっています経験、能力、こういうことにつきましては、世田谷区の貴重な財産といのは御指摘のとおりでございます。その力を地域住民のために役立てていただくことは、例えばコミュニティーを発展させるとか、そういうことにもつながっていくわけですから、そういうことのきずなとかの深まることや地域の活性化につながるとの効果が期待されて、区にとってもこの観点については非常に有益だというふうに認識しているところでございます。  以上でございます。 ◎岡田 子ども部長 子どもの人権擁護機関につきまして二点御質問いただきましたので、御答弁申し上げます。  まず、区長部局と教育委員会がどのように連携して取り組むのか、またどのように準備が進んでいるのかという点について御答弁申し上げます。  区は、子どもの人権の尊重と確保の取り組みをより一層推進するため、子ども自身の声を受けとめ、子どもの権利侵害に関する救済と問題解決のための公正中立で独立性と専門性のある第三者から成る子どもの人権擁護機関、通称せたがやホッと子どもサポートを本年四月に設置し、七月からの相談等の開始に向け、準備を進めているところでございます。  通称「せたホッと」と言わせていただいておりますが、扱う事案には、区立学校や保育園、児童館など、学校以外の区の機関で起こったもの、あるいは私立学校、学習塾、スポーツクラブ、職場、家庭で起こったものなど、多岐にわたるものが想定されます。  こうした事案に対しては、区長部局と教育委員会が一体となって、区全体で子どもの権利侵害に関する救済等に取り組んでいくことを明確にするとともに、権利侵害が発生する場所が主に学校や保育園など、両執行機関が所掌する事務の全体にかかわることも考慮いたしまして、両執行機関の附属機関として共同設置したものでございます。  これまでの間、小中合同校長会での制度周知、せたホッとの委員や専門員と教育委員会の教育相談室相談員や指導員、スクールカウンセラーなどとで意見交換を重ね、双方の連携のあり方や顔の見える関係づくりを進めてまいりました。  七月の相談等の開始以降は、相談事例の蓄積を行いながら、対応状況の評価、検証を行うことやせたホッとの委員による学校教職員向けの研修を行うなど、この機関が有効に機能するために、引き続き教育委員会としっかりと連携しながら取り組んでまいります。  二点目でございますが、区立以外、私立学校等の教育現場との対応について、実効性をどう担保するのか、そのためのアプローチの流れはどうするのかということにつきまして御答弁申し上げます。  世田谷区子ども条例では、せたホッとの委員の職務への協力について、議員御指摘のとおり、区立学校などの区の機関には義務規定を、私立学校などの区以外の機関には努力義務規定を設けており、子どもの権利侵害に適切かつ迅速に対応するため、委員の活動の実効性を高めるような仕組みとしております。  御指摘の私立学校などの区立以外の教育現場とは、これまで区とのかかわりが少なく、七月以降、そのような教育現場で発生した子どもの権利侵害事案にかかわる相談があった場合の具体的な対応や連携の方法について、現時点で検討課題であると認識しております。  これまで区立の小中学校を初めとする子どもの関係機関や主任児童委員など、地域の方々に対してせたホッとの制度周知を行ってまいりましたが、それと同時に私立学校に対しては、支部単位で行われている中学、高等学校を中心の連絡会の場で、今月二十一日に説明する機会をいただき、制度周知とリーフレットなどの啓発物の生徒一人一人への配付につき御協力いただくよう御依頼を申し上げることとしております。  七月の相談等の開始以降におきましても、例えばせたホッとの委員が各学校に直接出向いて、子どもの人権に関する普及啓発のための出前講座を実施するなど、こうした機会を活用しながら、制度周知や意識啓発に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 ◎伊佐 教育政策部長 私からは、小学生の海外派遣事業に関しましてお答えをさせていただきます。  小中学生の海外派遣につきましては、教育委員会と文化・国際課が連携しながら、小学生はオーストラリアのバンバリー市とオーストリアのドゥブリング区へ派遣しており、中学生はカナダのウィニペグ市へ派遣しております。いずれもさまざまな交流活動を通して子どもたちの国際的視野を広げる有意義な取り組みであると認識しております。  議員お話しの小学生の海外派遣の定員枠の拡大につきましては、教育委員会におきましても課題として捉え、これまで検討を進めてまいりましたが、姉妹都市の受け入れ態勢やホームステイを実施していただく家庭の安定的な確保など、相手方との調整や財政面の問題など、多くの制約があり、その実現に至っていない状況でございます。  教育委員会では、小中学生の海外派遣事業は、子どもたちが言語や生活、歴史、文化の違いを理解するとともに、多様な考えを受容できる相互理解の機会であり、より一層推進したいと考えていることから、これまでの海外派遣事業の見直しや今後の姉妹都市交流のあり方の観点を含め、改めて区長部局と連携しながら、派遣人数だけでなく、訪問形態などについても検討してまいりたいと考えております。  また、ウィーン市への派遣の際のホームステイの実施という御質問もございましたけれども、先ほど答弁いたしましたけれども、訪問形態も含めまして区長部局と連携しながら検討してまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。 ◎阿部 危機管理室長 私からは、災害協定を前提とした姉妹都市交流について御答弁申し上げます。  海外からの支援の受け入れについては、国の防災基本計画におきまして、発災時に即座に到着が可能であるかなどを調査すること、支援受け入れが可能な分野を定め、受け入れ手続、人員、物資のマッチング方法等について定めること等を国の役割としてございます。また、東京都地域防災計画では、海外政府機関などに対する応援の要請に関することが役割として記載されており、海外からの援助につきましては、基本的には国や東京都の役割と認識してございます。  大規模災害におきましては、人命救助などの観点から迅速な対応が求められます。現在、世田谷区では、二十三区や調布市、狛江市などの近隣自治体に加えまして、遠隔地にある熊谷市やつくば市と災害時における相互応援に関する協定を結んでいるところでございます。  区におきましてもさまざまな分野で国際化が進んでおり、今後、防災対策等について海外諸都市と意見交換を行うなどのことも十分に想定はされます。一方で、大規模災害の対策につきましては、災害対策基本法、国の防災計画などを軸にしまして、国、都道府県、市区町村がそれぞれの役割に従って有機的な連携を図りながら対処することが必要であると考えます。  引き続き、さまざまな手法を用いながら、区の防災力強化に取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎萩原 総務部長 私からは、本庁舎整備についてお答えいたします。  本庁舎整備の検討につきましては、さきの第一回区議会定例会での御議論を踏まえ、保坂区長から本庁舎整備に関する検討を再開するようにとの指示を受け、五月に関係部署の部課長による本庁舎等整備計画プロジェクトチームを新たに発足し、同月末には一回目の会議を開始したところでございます。  このプロジェクトチームでは、本庁舎整備に関するこれまでの各種の調査研究、平成二十一年八月の世田谷区本庁舎等整備審議会の答申や平成二十三年二月の地方分権・庁舎問題等対策特別委員会でのまとめなどを踏まえ、本庁舎整備計画の具体化に向けた諸課題の抽出と整理等を行ってまいります。  その上で、全庁的な検討組織である庁舎計画推進委員会において、庁舎整備の方向性の検討、議論を進め、節目ごとに区長の判断をいただきながら、区の考えを明らかにしてまいります。  以上でございます。 ◆三十五番(中村公太朗 議員) 再質問しませんが、若干時間があるので、それぞれ物申したいと思います。  基本構想について、先ほど区長からお話をいろいろ、まとめをして、その上で審議会でたたいたものが一年半かけて出てきたものだという趣旨は重々理解をいたしました。ただ、その前提としての庁内でまとめた過去の総括というんでしょうか、それは審議会のほうのたたき台としては出されたようですが、今後、条例案として出てくるに当たって、議会にはまだ提示をされておりません。これがないとやっぱり判断がつかないなというのが率直な思いですので、これはちゃんと配っていただきますようにお願いをしたいと思います。  それから、妊婦健診の交付税化です。区としても困っちゃったなという答弁だったと思います。でも、結果としていうと、いろんな機会を捉えて、ちょっとお願いをしてみようかなぐらいのことなんだと思いますが、ぜひ強く言っていただきたいと思います。本当に一億五千万円あればいろんなサービスにお金を使えたはずですし、ちゃんと声を上げて、本来出さなくていいもので、地方交付税が本来ほかの自治体では入っているわけですから、そもそも、もともとを考えれば、区負担分のものも合計すれば五億五千万円です。五億五千万円が今回の決定で、世田谷区においては五億五千万円かかるものが、ほかの自治体で交付税で入っているものが世田谷区は自分の持ち出しになるということですので、この金額を重く捉えていただいて、積極的な声を上げていっていただきたいなと思っております。  それから、人材の活用については、区内、いろんな民間事業者もやられているということですけれども、区内で果たしてやっているところがあるのかなという疑問もあります。あるなら、それをそこと連携してもらいたいですし、ないのであれば、他自治体の部分を勉強していただいて、区内にないのであれば、やっぱり区が率先をしてやっていかざるを得ないと思いますので、ぜひ人材を掘り起こして、悠々自適に暮らしているけれども、まだ役に立ちたいと思っている方をこの世田谷区で輝かせていただくような土台づくりというものに汗を流していただきたいなと思っております。  最後に、姉妹都市の派遣です。今答弁いただきました。改めて検討していきますって、何を改めるのかわかりませんけれども、ずっとやってきていただいたはずなのに、ここの僕が質問した機会を捉えて改めてという答弁だとすると、じゃ、これまで何をやっているのかな、今後何が発展するのかなという危惧は持ちます。  とはいえ、答弁の難しさというのは実感をしておりまして、聞いていただきたいんですよ、区長。これは多分横の連携で言えないんだと思いますが、教育所管は、昨年度の予算要求で人員をふやす要求をしています、実際。受け入れ国も、若干、数名であれば広げてもらえるんじゃないかという感触を持った上での判断だということも聞いております。残念ながら、財務のほうで切られてしまったそうですから、それをちゃんと思いをとっていただいて、教育は煮え切れない答弁をせざるを得ないと思いますけれども、この辺の重要な予算をちゃんと細かく点検をしていただいて、予算の有効活用をしていただきたいということを最後に申し上げまして、終わります。 ○山口ひろひさ 議長 以上で中村公太郎議員の質問は終わりました。  これで本日の代表質問は終了いたします。     ──────────────────── ○山口ひろひさ 議長 以上をもちまして本日の日程は終了いたしました。  なお、明五日は午前十時から本会議を開催いたしますので、御参集願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時二十五分散会...